>例えば、恋をすることは、 >その人を、無数にいる人の中から、 >自分にとっては、唯一の人であると、 >誤認することだとして、 >その人が唯一の人であると思えるのは、 >その人を選んだ自分もまた、 >無数にいる人の中の一人ではなく、 >唯一の人であると誤認するからである。 意味不明な文章で恥ずかしい。 でも、他の誰とも成り立たないような、 唯一の会話をしようと思ったら、 意味不明なことを言わなきゃ仕方がない。 唯一の人に、なかなか出会えないのは、 僕も、その人も、考えていないふりをして、 話し言葉でも、書き言葉でも、 自分の言葉を使わないからだと思う。 彼女は青い肌を持っていて、 そして、彼もそうだった。 彼はそれを隠していて、 そして、彼女もそうしていた。 彼らは青い肌を持つ人を、 生涯、探し続けて、 ある時、すぐ傍をすれ違ったけれど ―― 、 お互いを知ることはなかった。 She had blue skin, And so did he. He kept it hid And so did she. They searched for blue Their whole life through, Then passed right by ―― And never knew. ―― Masks/Shel Silverstein
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2018年10月25日 20:02 |
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どこかで聞いたようなやり取りなら、 別に、自分たちが話さなくても、 例えば、隣のテーブルで話していることでも、 たいして違いはなく、ほとんど等価であり、 自分たちも、隣のテーブルの人たちも、 それぞれに、替えが利(き)くのだから、 それぞれに、無数にいる人の中の一人であり、 自分も含めて、自分たちでなくてもいい。 みんなが、それぞれに、唯一の自分だと、 流行りの歌みたいに言う気持ちも分かるけれど、 では、その唯一の自分とは、 自分も含めて、同じような唯一な自分が、 なぜこんなにたくさんいるのだろうと、 呆れてしまう自分のことである。 ぶっちゃけ、みんなを無数にいる人に埋没させないと、 自分を唯一とは呼べなくなるだろう。 自分の在りかたが唯一なのは、 それはもう、どうしようもない唯一さで、 自分は、世界に対して、 申し訳ないと思うくらいに唯一である。 ある他人を、唯一と思えるためには、 無数にいる人の中に埋もれているその他人を、 唯一な人に浮かび上がらせなければならないが、 浮上させるのも、また、自分の唯一さかもしれない。 例えば、恋をすることは、 その人を、無数にいる人の中から、 自分にとっては、唯一の人であると、 誤認することだとして、 その人が唯一の人であると思えるのは、 その人を選んだ自分もまた、 無数にいる人の中の一人ではなく、 唯一の人であると誤認するからである。 僕たちは、置き換えが可能な人を、 好きになったりはしないもの。 そして、その人が唯一の人であると確認するのは、 自分たちの会話が、隣のテーブルはもとより、 他の誰とも成り立たないような、 唯一の会話だと誤認したときである。 動画は削除されました 強い悲しいこと全部 心に残ってしまうとしたら それもあなたと過ごしたしるし そう 幸せに思えるだろう ―― カブトムシ/aiko ―― AIKO 作詞作曲、1999、PONY CANYON
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2018年10月24日 00:04 |
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ゆえに、僕たちは、 考えて話さない、 考えて書かない。 考えない、というよりも、 考える、ということを知らない。 話し言葉でも、書き言葉でも、 僕たちは、一日に一度も、 自分の言葉を使わない。 自分の言葉なんて、 最初から持っていない。 持ち合わせているのは、 他人の言葉のストックである。 お互いに、他人の言葉を指し示す。 お互いに、他人の言葉だから、 お互いに、淀みなく通じるんだ。 上手に話せる人は、 上手に書ける人は、 潤沢なストックから、手際よく、 最適な言葉を取り出してくる。 言葉に、まるで違和がない。 よくある流れに沿って、 よくある結果に行き着いて、 予定通りに笑ったり、 予定通りに感動したり、 予定通りに気づいたりする。 それらは間違いではないけれど、 予定調和の感動や気づきなんて、 そんなものは、語義矛盾に等しい。
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2018年10月23日 00:04 |
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>10年前に買ったバニスターのブーツ。 >変わり続ける世の中にあっては、 >変わらないことが変化である。 意味不明な文章で恥ずかしい。 たぶん、僕は、もっと常識的な文章も選べる。 そして、そのほうが楽ちんだ。 10年前に買ったバニスターのブーツ。 変わり続ける世の中にあっては、 変わらないでいると取り残される。 そんなふうに、当たりまえに書けば、 整合性があって、安定していて、 書き手も、読み手も、考えなくてもいい。 書き手は、考えて書かないほうがいい。 考えれば、考えるほど、 意味不明になってしまう。 読み手は、考えて読まないほうがいい。 考えれば、考えるほど、 意味を取り違えてしまう。 そして、誰が書いても同じであり、 だったら、自分が書かなくてもいいような、 自分が読まなくてもいいような、 そんな文章を書いて、読んで、僕たちは、 共感できる、なんて言い合ったりする。
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2018年10月21日 20:27 |
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>10年前に買ったバニスターのブーツ。 >変わり続ける世の中にあっては、 >変わらないことが変化である。 これも、だめな文章だ。 どこかで読んだようなものではないから、 読めない文章になる。 では、読める文章とは何か。 端的にいって、常識的な文章だろう。 しかし、常識なら書かなくてもいい。 わざわざ書く理由がないから常識だ。 自分が常識的な人であることを、 アピって満足する以外には。 かといって、非常識なことは、 もっと書かなくてもいい。 書きたいのなら、書いてもいいけれど、 書かれても、読めないから非常識である。 VIDEO いつの間にか 地面に映った 影が伸びて 解らなくなった ―― 赤黄色の金木犀/フジファブリック ―― 志村正彦 作詞作曲、2004、EMI Music Japan
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2018年10月20日 12:23 |
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>(しかし、自分の言葉なら、 >それは、そもそも、常に、必ず、 >まだ言葉になっていないことを、 >言い当てさせる、という無理な要求だ。) って、これはだめな文章だ。 こんなのは、読めない。 端折らずに、主格、所有格、目的格を補ってみると、 それらはすべて、自分、になる。 (しかし、自分の言葉なら、 それは、そもそも、常に、必ず、 自分でもまだ言葉になっていないことを、 自分に言い当てさせる、という無理な要求だ。) まだ読みにくい。 では、逆に、読める文章は、どんな文章だろう。 例えば、(自分が、思い浮かべていることを、 そのまま、分かりやすい言葉にして表せばいい。 それが、自分の言葉になる。) これなら、誰にでも読めると思うけれど、 僕は、これの逆を言いたいから読めないわけだ。 僕たちは、どこかで読んだようなものでないと、 だめな文章になって、読めない文章になる。 例えば、初対面の人と話をするときは、 僕だって、分かりやすい言葉を選ぶ。 ご出身はどちらですか、とか、 僕はずっと大阪で、とか、 初対面って緊張しますね、とか、 会話のための会話をする。 自分でしゃべっているから、 自分の言葉ではあるけれど、 そんなのは、自分の言葉ではなく、 誰が言っても同じであり、 主格も、所有格も、目的格も、 すべて、自分、でなくても構わない。 話しているのは自分でなくてもいいから、 そんなのは、置き換えが可能な方程式であり、 自分の言葉であるはずがない。 10年前に買ったバニスターのブーツ。 変わり続ける世の中にあっては、 変わらないことが変化である。
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2018年10月18日 19:28 |
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そういえば、そうだ。 半分は、本心と反対のことを言う。 そのままと逆が半々だから、 どっちなんだか予測がつかない。 そして、おそらく、本心は、 自分でもまだ言語化されていない。 だから、厳密にいえば、 まだ反語にもなっていない。 自分でも言葉になっていないことを、 男に言い当てさせる、 女は、なんとも無理な要求を出すが、 それに応えなきゃ恋愛にならない。 (しかし、自分の言葉なら、 それは、そもそも、常に、必ず、 まだ言葉になっていないことを、 言い当てさせる、という無理な要求だ。) それは、優しさ、とか、察する、なんて呼ばれて、 恋愛の大切な要素になる。 坂上忍忍忍 その後に、会話として、 坂上忍忍忍 なんで? したほうがいいんじゃないの? 坂上忍忍忍 って言ったら、 坂上忍忍忍 だって、手続きとか面倒くさいから、 坂上忍忍忍 60くらいになってからでもいいんじゃないの、別に、 坂上忍忍忍 って言ってたよ。 植木理恵恵 60歳でいい、ってゆうのは大嘘ですから。 さんままま ああ、彼女が? 植木理恵恵 女性ってそうゆうこと言うんです。 坂上忍忍忍 どうすりゃいいの。 植木理恵恵 それじゃあいやだ、って言われるために言うんです。 植木理恵恵 待てない、って言われるために、あえて言うんですよ。 植木理恵恵 真に受けちゃだめなんです。 植木理恵恵 女性の会話の5割がだいたい反語、っていいますから。 植木理恵恵 ほんとに。
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2018年10月16日 00:04 |
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思い出した。 2ちゃんねるのコピペで、 「車のエンジンがかからないの…」 ってのがある。 女女 車のエンジンがかからないの… 男男 あらら、バッテリーかな? ライトは点く? 女女 昨日までちゃんと動いていたのに、 女女 なんでいきなり動かなくなっちゃうんだろう。 男男 トラブルって怖いよね。 男男 で、バッテリーかどうか知りたいんだけど、ライト点く? 女女 今日は〇〇まで行かなきゃならないから車使えないと困るのに… 男男 それは困るね。どう? ライトは点く? 女女 前に乗っていた車はこんなことなかったのに。 女女 こんなのに買い替えなきゃよかった。 男男 …ライトは点く? 点かない? 女女 〇時の約束だからまだ時間あるけど、このままじゃ困る。 男男 そうだね。で、ライトはどうかな? 点くかな? 女女 え? ごめん、よく聞こえなかった。 男男 あ、え~と、ライトは点くかな? 女女 なんで? 男男 あ、え~と、エンジンがかからないんだよね? 男男 バッテリーがあがっているかもしれないから。 女女 なんの? 男男 え? 女女 ん? 男男 車のバッテリーがあがっているかどうか知りたいから、 男男 ライトを点けてみてくれないかな? 女女 別にいいけど、 女女 でも、バッテリーあがってたらライト点かないよね? 男男 いや、だからそれを知りたいから、 男男 ライト点けてみてほしいんだけど。 女女 もしかして、ちょっと怒ってる? 男男 いや、別に怒ってないけど? 女女 怒ってるじゃん。なんで怒ってるの? 男男 だから、怒ってないです。 女女 なにか悪いこと言いました? 女女 言ってくれれば謝りますけど? 男男 大丈夫だから。怒ってないから。 男男 大丈夫、大丈夫だから。 女女 何が大丈夫なの? 男男 バッテリーの話だったよね? 女女 車でしょう? 男男 ああ、そう車の話だった。 女女 車のエンジンがかからないの… なんで? は、質問ではない。 なんで? は、反語である。 もう、ライトはどうでもよくて。 会話のつながりが変になっても、 そこで跳ばなきゃならない。 女女 え? ごめん、よく聞こえなかった。 男男 あ、え~と、ライトは点くかな? 女女 なんで? 男男 …わかった。 男男 今から迎えに行くから。
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2018年10月14日 00:04 |
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そういえば、そうだ。 質疑応答では、埒(らち)が明かない。 受け答えではなくて、 跳ばなきゃなんだけど、 たしかに、邪魔くさい。 坂上忍忍忍 で、昨日、ほんと、昨日なんですけど、 坂上忍忍忍 一緒にいて、もういいかげん籍入れる? 坂上忍忍忍 って、僕、言ったんですよ。 坂上忍忍忍 そしたら、なんで? って言われたの。 小杉竜一一 相手に? 坂上忍忍忍 そう。 坂上忍忍忍 なんでじゃなくて、って。 坂上忍忍忍 なんで僕が、そう彼女に言ったか、っつったら、 坂上忍忍忍 前、けんかしたんですよ。 坂上忍忍忍 去年だったと思いますけど、 坂上忍忍忍 結構な、大きなけんかしたとき、 坂上忍忍忍 もう私は黙ってたけど、今まで、 坂上忍忍忍 なんだか知らないけど、あなたとつき合ってたら、 坂上忍忍忍 犬が1匹、2匹、3匹、気がついたら12匹まで増えて、 坂上忍忍忍 会ったところで犬の世話ばっかしてて、 坂上忍忍忍 もうデートにもならないと、それで、 坂上忍忍忍 もう私のほうからね、文句も言わずにね、 坂上忍忍忍 犬の面倒も看ててね、じゃあ私のほうから、 坂上忍忍忍 籍入れて、とか言ったことあるかと、 坂上忍忍忍 そういえば、ないな、と思ったんですけど、 坂上忍忍忍 その言葉聞いて、やっぱ思ってたのかもしれない。 さんままま ああ、なるほど、なるほど。 坂上忍忍忍 私そんなの要らないよ、結婚なんてしなくてもいいよ、 坂上忍忍忍 って言ってたのに、実は思ってたのか、 坂上忍忍忍 それが頭にあったんで、昨日ふと、言ったんですよ、 坂上忍忍忍 僕、いつでもいいんで、別に、それだったら。 さんままま もう、入籍しない? 坂上忍忍忍 そしたら、なんで? って返されて、 坂上忍忍忍 それって、俺はどうすればいい? 植木理恵恵 なんで? は質問、ですか? 植木理恵恵 反語じゃなくて。 坂上忍忍忍 え? いや、でも、その後に、 坂上忍忍忍 だって、こういうこと言ってたじゃん、 坂上忍忍忍 って聞き返した。 植木理恵恵 そういうことは言われたくないの。 植木理恵恵 愛してるから、って言われたいんです。 さんままま ああ、そうやわ。 小杉竜一一 愛してるから籍入れたいんだ、っていう。 植木理恵恵 そうです。 さんままま 邪魔くさいなぁ。
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2018年10月13日 19:32 |
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I'm blue. Are you? 多くの人が、 自分は青い、というだろう。 シルヴァスタインが仮託した寓意は、 きっと、そこにある。 多くの人が、 自分は少数派だ、というだろう。 すると、自分を少数派だと思っている人が、 多数派を構成し、 自分を多数派だと思っている人が、 少数派を構成することになる。 では、自分を少数派と思わない、 むしろ、それが少数派の特性ではないのか。 I'm red, completely. Are you? L'amour, c'est donner ce qu'on n'a pas ―― Jacques Lacan, Le Séminaire livre V Les formations de l'inconscient 1957-1958 愛とは、持っていないものを与えることである ―― ジャック・ラカン、セミネール第5巻 Je te demande de me refuser ce que je t'offre parce que : c'est pas ça ―― Jacques Lacan, Le Séminaire livre XIX …ou pire 1971-1972 私は、私があなたに贈るものを拒絶してくれるようあなたに頼む なぜならそれではないのだから ―― ジャック・ラカン、セミネール第19巻
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2017年11月28日 19:04 |
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