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答のない問いに耐える力を 8/8 ―― スピなら自由に書いていい、それを自由と呼ぶのなら


スピリチュアルは、知性よりも直観に、論理よりも感性に好意を寄せる。
というか、語り得ない話をしているので、論理にはそぐわない。

例えば、あらゆるものごとには ―― イメージや思考にも、
波動があって、共鳴して引き寄せ合う、なんて理論を、

論証を要しないプリミティブとして用いたりするから、
論理の丸ごとが、語り得ない話になってくる。



考えるな、感じろ、なんていうけれど、
人は、おおよそ、自分が感じたいことを感じて、考えたいことを考える。

知ること=知識と、感じること=感情と、考えること=思考、
それらが混同されると、受け容れられる考え方は限られる。

人は、自分が受け容れたい物語を受け容れる。
努力や困難を避けて、楽ちんな物語を受け容れる。



スピは、何でも自由に書いていい。
それを、自由と呼ぶのだろう。

でも、例えば、カントなら、スピ的な自由を、自由とは呼ばない。
自由ってのは、他人が作った法則からの自由だ。

自然の法則であっても、スピの虚構であっても、
何かを引き寄せたいからって条件で、何かをさせられる、

そんなのは、自分以外の誰かが作った法則に従っているだけで、
カントに言わせれば、自由ではない、ってことになる。

他人の命令に従っているだけの他律的な生き方は、
人というよりも、家畜か奴隷の生き方だろう。

無条件に、自分の理性の命令に従うこと、
それが人の特権であり、カントは、それを自由と呼ぶ。

無条件だから、どこでも、誰にでも当てはまる法則であり、
当然、他人に説明ができるものでなければならない。



スピの言説は、自分がどれだけよく出来た家畜かを、
自分がどれだけ優秀な奴隷かを、

互いにアピっていることと等価である。



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  1. 2018年10月04日 19:07 |
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答のない問いに耐える力を 7/8 ―― 耐えなくても、スピなら自由に書いていい


戸塚宏は、生理学からも、
教育学からも相手にされていないから、
「脳幹論」なんて本が書ける。

加藤諦三は、心理学からも、
医学からも相手にされていないから、
「うつ病は重症でも2週間で治る」なんて本が書ける。

スピリチュアルも、何からも自由だ。
自由に何でも書いていい。



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  1. 2018年10月02日 22:14 |
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答のない問いに耐える力を 6/8 ―― 努力はしなくてもいい、委ねればいい、なんてフレーズを


努力するとか、がんばるとか、
がまんするとかって、僕も、好きではない。
暑くるしくって、ダサいと思う。

説教くさくて、かっこ悪いから、
いちいち、他人に言いふらさないで、
さり気なくやってのけたい。

それでも、誰も見ていないところでは、
独りで、みっともなくがんばっている。
努力なんて、そんなものだ。

結果に対しては、まぐれです、なんて言って、
舌を出してみせたりするけれど、
特別な何かに委ねていたわけではない。

スピ的な言説の、努力はしなくてもいい、
委ねればいい、なんてフレーズを、
どうして真に受ける人がいるのだろう。

努力なんて、他人に見せないだけなのに。



    180805.jpg 動画は削除されました

    誰にも見せない 泪があった
    人知れず流した 泪があった

    ―― 栄光の架橋/ゆず
    ―― 北川悠仁 作詞作曲、2004、SENHA & Co.



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  1. 2018年10月01日 20:31 |
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答のない問いに耐える力を 5/x ―― 「引き寄せの法則」よりも、ももクロの百田が正しい


努力をしたからといって夢はかなうわけでもないけど、
いままで夢をかなえた人で努力してこなかった人はいない。
―― 百田夏菜子

こんなのは、誰にでも言えるような、
よくある台詞かもしれないけれど、
僕には、「引き寄せの法則」よりも信じられる。

少々さぼっていても、
幸運が転がり込んでくることもある。
がんばっても、報われないことも多い。

それでも、努力しなければ夢はかなわない。
ももクロの百田は、まったく正しい。
法則、なんて呼べるような、

自然科学のようなものではないんだ。



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  1. 2018年09月30日 00:48 |
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答のない問いに耐える力を 4/x ―― 「引き寄せの法則」は、努力を馬鹿にしている


例えば、資格試験に合格したいのなら、
教科書を読んで、過去問を解く。
それが、合格を引き寄せる方法だと思っている。
例えば、就職したいのなら、
彼氏彼女が欲しいのなら、
英語が話せるようになりたいのなら、

速く泳げるようになりたいのなら、
歌が上手くなりたいのなら、
やせてきれいになりたいのなら、
行ってみたい場所があるのなら、
それぞれ、常識的に引き寄せる方法があって、
総じて、努力、なんて呼ばれている。

僕は、「引き寄せの法則」なんてものが、
どんなものかは知らないけれど、
それが、常識的に引き寄せる方法とは、
別のこととしてあるのなら、
努力を嫌っている、としか思えない。
他人を軽視している、としか思えない。

僕だって、あまり常識的とはいえないけれど、
それでも、常識に逆らうときにこそ、
僕は、最も常識に配慮する。
常識は、他人がいることを意識して成り立つもので、
常識に反するときには、
他人に対して論証の義務を負うから。

スピリチュアルが語り出すのは、
いつも、哲学が黙り込む地点からである。
常識に反しながら、論証を放棄するのは、
他人を馬鹿にしていることにならないか。
中でも、努力している人たちを、
馬鹿にしていることにならないか。

とりわけ、努力しても、
報われなかった人たちを。



    180805.jpg 動画は削除されました

    頑張って ダメで 悩んで 汗流して できなくって
    バカなやつだって 笑われたって 涙こらえて

    ―― MR.LONELY/玉置浩二
    ―― 玉置浩二 作詞作曲、1997、Sony Records



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  1. 2018年09月29日 21:43 |
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答のない問いに耐える力を 3/x ―― 語り得ることなら、語らなければならない


しなければならない、ってのが、
答のない問いに耐える力を、ってことだ。

なんて、関連づけてみるけれど、
それで合っているのかどうかは知らない。

それが正しいかどうかなんて、
確かめるすべはない。

そんな思いつきは、たぶん、
この国で、僕が最初で最後だから。

変なことを言っている気がする、
なんて、よりにもよって、

ウィトゲンシュタインに対して、
そんなおこがましいことは誰も考えないから。

テクストを日本語で織り直すときの、
翻訳の問題は、いつも必ずついてくる。

糸も違うし、織り方も違う。
いつだって、パターンがずれてくる。

訳がずれているのかもしれないけれど、
しなければならない、ってのは、

身の程を知らない僕にはちょうどいい。
僕には、説明できないことを、

説明しようとする心の内を、
自分で抑え込むことは難しいから。



    

    僕が今でも泳げないわけは
    川で溺れたあいつのせいさ

    ―― カリント工場の煙突の上に/玉置浩二
    ―― 須藤晃 作詞、玉置浩二 作曲、1993、Sony Records



語り得ないことについては、
沈黙しなければならないが、

その裏は、語り得ることなら、
語らなければならない、になる。

それで合っているのかどうかは知らない。
その裏は、なんて、よりにもよって、

ウィトゲンシュタインに対して、
そんなおこがましいことは誰も考えないから。

語らなければならないのなら、
語り得ないことを語る人たちに対して、

語り得ることを語ってみようと思う。



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  1. 2018年09月28日 20:41 |
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答のない問いに耐える力を 2/x ―― 語り得るものごとの限界を知ること


リクールか、それとも、リオタールかもしれない、
「答のない問いに耐える力を」
なんてことを言っていた。

ウィトゲンシュタインの、
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」
と共に、いつだって肝に銘じよう。

でも、改めて読み返すと、
ウィトゲンシュタインにしては、
変なことを言っている気がする。

語ることができないものごとについてなら、
黙っているしかない、のは当然だ。
もとより、語り得ないのだから。

語り得ないものは、語り得ない。
同語反復で循環させれば、間違いがない。
何も言っていないから、間違えようがない。

雨が降る日は、天気が悪いんだ。



    

    昨日の夢 オレンジ色の翳り
    今日の夢 沈黙の気配示す

    ―― 色彩のブルース/EGO-WRAPPIN'
    ―― 中納良恵 作詞作曲、2001、Universal Music



説教くさく、しなければならない、なんて言うのは、
僕たちは、語り得なくても、黙っていられなくて、
ついつい語ってしまうから。

沈黙を守るためには、まずは、
語り得るものごとの限界を知ること。
そして、ついつい語り得ないものごとまで、

語ってしまいたくなる自分に耐えること。



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  1. 2018年09月27日 19:27 |
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答のない問いに耐える力を 1/x ―― ふだん着で、ふだん使いで


哲学は、カジュアル。
カジュアルでないとしたなら、
哲学をまとって、いったい、
どこに行くつもりなのか。

哲学は、日用品。
毎日の生活で使わないとしたなら、
哲学を手にして、いったい、
どこで使うつもりなのか。

ふだん着で、ふだん使いで、
汚れても、失敗しても構わずに、
気軽にするのが哲学だ。
自分の身体で、自分の感じ方で、

自分が分かる言葉で、
自分で哲学しないと意味はない。
でないと、似合わない服を着て、
使えない道具を持って、

難解な他人の哲学に、
分かったふりをすることになる。



    

    そして 手は探る
    あなたと居た町 思い出せなくなる前に

    ―― のうぜんかつら(リプライズ)/安藤裕子
    ―― 安藤裕子 作詞、安藤裕子、山本隆二 作曲、2006、cutting edge



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  1. 2018年09月25日 00:03 |
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哲学は、趣味


スピは、宗教、
哲学は、趣味。
どちらも、必要ではない。
なくても生きて行ける。
        役に立つとか、
        立たないとか、
        そんなのは知らないし、
        どっちでもいいし、
やれと言われても、
やらない人はやらないし、
するなと言われても、
する人はしてしまうし、
        やり方を習っても、
        やらなきゃできないし、
        やり方を知らなければ、
        いくらやってもできないし、
僕の代わりには、
誰もやってくれないし、
代わりに誰かがしていても、
僕には何の意味もないし、
        何のためにもならなくても、
        誰のためにもならなくても、
        やめられないうちは、
        続けるしかないような、

        哲学は、自分と世の中について、
        考える趣味である。



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  1. 2017年07月09日 17:21 |
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哲学は、善悪


「善」とは、共同体の利益となる行為、
対して、「悪」とは、
共同体の不利益となる行為をいう。
昔からある「善」の定義だ。

そんなのは、当たりまえすぎて、
誰が定義したのかは誰も知らない。
発見したのか、発明したのか、
そんなのも、どっちでもいい。

「義」といってもいい。
「正しさ」でも、「正義」でもいい。
それらの小さな違いが、
気になる人なんて珍しい。

「善」が相対的なのは、
それぞれの共同体によって、
利害が異なるからである。
なんて簡単な理屈だろう。

「善」は、部分集合や補集合、
和集合や積集合で括られて、
「善悪」なんて、僕の身の周りにも、
いつでも、どこでも、いくらでもある。

そして、哲学は、「善悪」を考える。
複雑な、共同体の利益を逡巡している。


解決策は、両極端な2通り。
個に向かうか、全に行くか。
自分に閉じこもるか、
それとも、宇宙の果てまで跳ぶか。

どちらも現実を見なくていいから、
悟った気分が得られるに違いない。
自己閉塞に落ち込んでいても、
宇宙を夢見ることはできる。

スピは、宇宙の利益を考えているのか。
最小の真部分集合の個人なのに、
遥かに外側の宇宙の「善」など、
考えることができるのか。

もしも、スピが、個人の「善」なら、
単純に、個人の利益に埋没している。



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  1. 2017年07月07日 23:03 |
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