>過去はどこにも保存されていない。
>未来がどこにも準備されていないように。
>捉えどころのないことについて考え始めると、
僕は、頭がおかしい人になる、あまつさえ。
僕たちが作ったのかもしれない時間は、
―― 僕たちは、僕たちの時間の感覚を宇宙に押しつける。
可逆的なのかもしれないし、
―― 僕たちは、原因の後に結果があり、この順番は崩せない。
双方向に流れているのかもしれないし、
―― 順番を崩せないのは、僕たちの都合だ。
能動的に時間を流しているくせに、
―― 僕たちは、受動的にしか意識できないで、
主観的に時間を流しているくせに、
―― 僕たちは、客観的にしか観れないで、
しかし、そうだとしても、何も変わらないけれど。
―― 僕たちの世界が、それ自体、客観的に存在していること、
それだけですべてが描き出せるのなら、
僕たちにとって、世界はどんなに簡単だろう。

げみ
何はともあれ この街を去った
未来ではなく 過去を漁った
―― 琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり
―― 岸田繁 作詞作曲、2016、SPEEDSTAR RECORDS
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- 2021年10月19日 00:00 |
- ラパン/ミニ
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盛って、硬化させたら、研ぐ。
簡単に養生して、800番。
>手間も時間もかかる生活そのものに、
>心地よい暮らしの継続がある。
経済効果、経済効率を優先する価値観なら、
塗装の盛り研ぎなど、愚かなことに違いない。
>面倒を喜び、不便を楽しみ、無駄を笑いながら、
所要時間は、1時間。
人生、なんてことを考えたら、
こんなことをしている時間は無駄としか思えない。
では、こんなことをさせたがる僕の過去は、
僕の人生の無駄な時間だったのか。

僕が、今まで生きてきた、
いろんな経験を反故にして、
自分、ってのが別に存在すると思えることは、
どういう間違いだろう。
今の僕が、このように在るのは、
偶然の積み重ねであり、
別の偶然が積み重なっていても、
それはそれで、別の僕が在り得たとは思う。
なぜ僕は、こんな僕であり、
ほかの誰かのような僕ではないのか、
そんな問いが意味を持たないのは、
さまざまな経験を重ねてきた、
なれの果ての僕が問うからである。
もとより、そのように問う僕になったから、
僕はそのように問うのであり、
そもそも、そのような問いが、
思い浮かばない僕であったなら、
僕はそのように問うことはない。
―― プレイガーリー/小島麻由美
―― 小島麻由美 作曲、1998、PONY CANYON
人生には、意味があるとは思うけれど、
学ぶために、仕事をするために、
恋愛をするために、子育てをするために、
どれも人生ではないが、どれも人生である。
ホームは、線路は、車輌は、地下鉄に還元できないし、
駅員や乗客を加えても、まだ地下鉄にはならない。
どれも地下鉄ではないが、どれも地下鉄である。
地下鉄には、意味があるとは思うけれど、
昨日も、今日も、繰り返し、繰り返し、
走っているそれは、確かに地下鉄である。
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- 2021年10月18日 00:00 |
- ラパン/ミニ
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>人生の意味、なんてことを、
>考えることは難しいことだと思う。
>その取り組みは、傍目(はため)にも立派に映り、
>自分でも充実感が得られる思考になるのだろう。
対して、日常生活の取るに足りない些事に、
関心を寄せてみる、なんてのは、
取るに足りない有象無象が寄せる関心として、
瑣末な人たちに任せておけばいいのかもしれない。
立派な人たちには分かってもらえそうにないけれど、
人生と、毎日の生活を、切り離す理由はない。
まして、正対させて、価値の上下をつける必要はない。
その判断基準には、おそらく、合理性がないと思う。
なにより、僕たちは、人だから、
どちらも大切にしながら考えることができる。
機械のように、上下や、優劣や、正誤に分けずに、
両方の側面から位相を入れることができる。
たとえ矛盾しても、すぐにエラーを返さずに、
矛盾を受け容れたまま、人らしく言葉へと表現して、
思考を行き止まりにさせないことができる。
なにより、僕たちは、人だから、
生活、なんて言葉を使いながら、
人生の意味を数え上げることができる。

げみ
なにもかも 瞬く間に
流れてゆく 光の中で
―― ひまわり/小島麻由美
―― 小島麻由美 作詞作曲、2001、PONY CANYON
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- 2021年10月17日 00:00 |
- ラパン/ミニ
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>過去はどこにも保存されていない。
>未来がどこにも準備されていないように。
>捉えどころのないことについて考え始めると、
僕は、頭がおかしい人になる、またしても。
クェーサー(準恒星状天体、Quasar、
Quasi-Stellar Object)は、
地球から極めて遠くに位置する銀河、
または、その核と考えられている、らしい。
発見されたクェーサーの中で、
地球から最も遠くにあるものは、
距離にして187億光年、
それは、観測可能な宇宙の地平線上にある。
クェーサーそのものは、永い時間の中で、
すでに死に絶え、過去に埋もれている。
遠く遠く、地球に辿り着いた光は、
クェーサーの名残りになるけれど、
この瞬間にも、僕たちに、
187億年の彼方から、光が届けられている。

げみ
宇宙が生まれたのは、200億年前、
太陽系が生まれたのは、46億年前、
しかし、200億年前にも、46億年前にも、
時間はなかった、としてみる。
なぜなら、それらが生まれたときには、
時間を認識する主体がいなかったから。
僕たちが、200億年前を想うとき、
遡って、僕たちの時間が流れ始める。
では、宇宙は、僕たちと出会って、
200億年の時間を知った。
僕たちを得て、自らを想うことができ、
自らが存在することの不思議を知った。
宇宙には時間が流れていない、としてみる。
にも関わらず、僕たちは、
僕たちの時間が過去から未来の方向に、
流れる意識を持っている、としてみる。
そう仮定したときでも、僕たちは、
宇宙の時間が、過去から未来の方向に、
流れていると信じて疑わないはずだ。
僕たちの時間の感覚を宇宙に押しつけていても、
誰も、僕たちが、宇宙の時間を流している、
なんて思ったりはできないだろう。
遠く 遠く ただ 埋もれていた
でも 今 あなたに 出会ってしまった
―― アイ/秦基博
―― 秦基博 作詞作曲、2010、Ariola Japan
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- 2021年10月16日 00:00 |
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以前には、人生には生きる意義があるのかどうかを
知ることが問題であった。
しかし、ここでは反対に、人生には意義がなければないだけ、
それだけよりよく生きられると思われる。
―― シーシュポスの神話/アルベール・カミュ
―― 清水徹訳、1969、新潮文庫
人生の意味、なんてことを、
考えることは難しいことだと思う。
その取り組みは、傍目(はため)にも立派に映り、
自分でも充実感が得られる思考になるのだろう。

げみ
けれども、君の生活について、また他人の生活について、
真面目に考えること、考えようと努力することは、
できないことではないとしても、
哲学よりも、ずっとむずかしいことなんだ。
―― ウィトゲンシュタイン/ノーマン・マルコム 著
―― 板坂元 訳、1998、平凡社
繰り返される、冴えない生活を置き去りにして、
ここではないどこかに、崇高な人生を夢見るような。
さらには、哲学を大上段に振りかざして、
他人の生き方に難癖をつけたりして。
ともあれ、人生も、生活も、考えているだけでは、
他人を批判するだけでは、変わるようなものではなくて。
―― me and my monkey on the moon/小島麻由美
―― 小島麻由美 作曲、2000、PONY CANYON
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- 2021年10月15日 00:00 |
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>過去はどこにも保存されていない。
>未来がどこにも準備されていないように。
捉えどころのないことについて考え始めると、
ついつい、僕は、頭がおかしい人になる。
雲駛月運、舟行岸移、亦復如是、
って、釈迦が言った、らしい。
雲駛(はし)れば月運(めぐ)り、
舟行けば岸移る、亦(また)復(また)是の如し。
僕が、舟に後ろ向きに乗りこんで、
後ろが下流、前が上流として、
後ろから次々に現れて、
前に過ぎ去る岸を眺めているとき。
岸は、後ろから来て、前に進み、
後ろが未来で、前は過去で、
岸は、未来から過去に進むけれど、
岸は、そんなのでいいのだろうか。
岸は、未来から過去に進み、
舟は、過去から未来に進むけれど、
舟は、そんなのでいいのだろうか。
以上、拙訳、或いは、無理がある意訳。
僕たちが感じている時間は、
双方向に流れているのかもしれない。
向きを崩せないのは、偏(ひとえ)に、
舟に乗った僕たちの都合だ。
以上、意訳、或いは、頭がおかしい誤訳。

げみ
釈迦牟尼仏、金剛蔵菩薩に告げて言く、
譬如動目能揺湛水、又如定眼猶廻転火。
雲駛月運、舟行岸移、亦復如是
《譬へば動目の能く湛水を揺がすが如く、
又、定眼の猶火を廻転せしむるが如し。
雲駛れば月運り、舟行けば岸移る、亦復是の如し》。
―― 正法眼蔵第二十三、都機
―― 正法眼蔵 二/道元 著
―― 水野弥穂子 校注、1990、岩波文庫
歓びの歌が聴こえてくる ささやかな幸せ願うように
澄み渡る空をふと見上げる 今夜 どんな君に会えるだろう
―― 灯り/ストレイテナー×秦基博
―― ホリエアツシ、秦基博 作詞作曲、2017、Virgin Music
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- 2021年10月14日 00:00 |
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>それ以外の人たちとのつながりは、
>もはや、テクノロジーが欠かせなくなった。
>しかし、つながりを継続させるためには、
>どのみち、手間も時間もかけなきゃならないだろう。
>つながりの持続は、無為で、非効率で、
>できないことではないとしても、
>哲学よりも、ずっとむずかしいことなんだ。

げみ
例えば、ブログ、とりわけ、このブログ。
僕も含めて、ごく普通の人たちが、
ごく普通の日常の出来事について、
ごく普通の文章を書いて、
それが続けば、普通は日記なんて呼ばれて、
でも、僕たち普通の人々が、
かつての普通の人々と違っているのは、
それを、よく分からないテクノロジーによる、
得体の知れないプラットホームに載せて、
どういう訳か、普通に公開してしまうことだ。
そんな平凡で、とりとめのない、
生活感、現実感にあふれた、
思考の断片を扱うメディアはなかったし、
そんなものなら、自分以外の誰かに、
価値を認めてもらえるとは思えないけれど、
テクノロジーは、容易に、
人と人とをつなげてくれる。
>しかし、つながりを継続させるためには、
>どのみち、手間も時間もかけなきゃならないだろう。
>つながりの持続は、無為で、非効率で、
>できないことではないとしても、
>哲学よりも、ずっとむずかしいことなんだ。
決して出会うことの出来ない僕ら それぞれの世界から
綴る言葉 募る想い 姿さえも 知らないまま
―― 大正浪漫/YOASOBI
―― Ayase 作詞作曲、2021、YOASOBI
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- 2021年10月13日 00:00 |
- ラパン/ミニ
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そして、もし“国民性”というような
危険きわまりない語句を
自分勝手な意味にしか使えないジャーナリスト程度の良心くらいしか、
哲学が君に与えるものがないとしたら、
―― ウィトゲンシュタイン/ノーマン・マルコム 著
―― 板坂元 訳、1998、平凡社
>日本人は、なんてもの言いがある。
>日本人は、優しいとか、優しくないとか。
>日本は、なんて大風呂敷で包んだりする。
>日本には、哲学がないとか。
そんなもの言いは、国民性、なんて語句を、
自分勝手な意味にしか使えない程度の良心くらいしか、
哲学から与えられなかった者の謂いになる。
何につけ、国民性よりも、個人差が大きい。
優しさ、だって、哲学、だって、
あるところにはある、ないところにはない、偏向の問題だ。
日本人全体が備えていても、いなくても、
自分に備わっていなければ、まるで意味を成さないだろう。

げみ
けれども、君の生活について、また他人の生活について、
真面目に考えること、考えようと努力することは、
できないことではないとしても、
哲学よりも、ずっとむずかしいことなんだ。
―― ウィトゲンシュタイン/ノーマン・マルコム 著
―― 板坂元 訳、1998、平凡社
それら、個人の偏向の問題は、国民全体に敷衍して論じるよりも、
自分の身の周りで育み、増やして行くものだ。
生きて行く中で、何らかの要請がなければ、
哲学の難しさは、難解な概念を理解する難しさに留まる。
それは、自分で考え、身につけるという難しさではない。
―― プレイガーリー/小島麻由美
―― 小島麻由美 作曲、1998、PONY CANYON
テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2021年10月12日 00:00 |
- ラパン/ミニ
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社会的に孤立する、ってのは、
家族とか、友人とか、仕事のつき合いとか、
つまり、いつもと同じ共同体だけで自足して、
それ以外の人たちとコミュニケートする機会が、
ほとんどなくなる、ってことだ。
いつもと同じ、閉鎖的な共同体では、
手間も時間もかかる生活そのものに、
心地よい暮らしの継続がある。
面倒を喜び、不便を楽しみ、無駄を笑いながら、
テクノロジーには代替させない。
それ以外の人たちとのつながりは、
もはや、テクノロジーが欠かせなくなった。
しかし、つながりを継続させるためには、
どのみち、手間も時間もかけなきゃならないだろう。
つながりの持続は、無為で、非効率で、
>できないことではないとしても、
>哲学よりも、ずっとむずかしいことなんだ。

げみ
淋しい笑顔で あきれて見てる
ほら、ごらんよ 光輝く あの黄色いひまわりを
―― ひまわり/小島麻由美
―― 小島麻由美 作詞作曲、2001、PONY CANYON
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- 2021年10月11日 00:00 |
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けれども、君の生活について、また他人の生活について、
真面目に考えること、考えようと努力することは、
できないことではないとしても、
哲学よりも、ずっとむずかしいことなんだ。
―― ウィトゲンシュタイン/ノーマン・マルコム 著
―― 板坂元 訳、1998、平凡社

げみ
But it is, if possible,
still more difficult to think, or try to think,
really honestly about your life
& other peoples lives.
こんなフレーズに出くわせば、
変わらない日々の、冴えない生活の中で、
大切なことと、つまらないことを、
取り違えそうになったときにでも、
何気(なにげ)に、正気を取り戻させてくれる。
別に言うことなんてない 言ってもいいことなんてない 人知れず黙り方を覚えた
いつか変わらない日々を穿つような 鐘が鳴るはず
―― まっしろ/ビッケブランカ
―― ビッケブランカ 作詞作曲、2018、avex trax
大切なものは、隠されているわけではない。
それは、すぐそこにも見つかるもので、
とりとめのない、平凡な生活の中に、
がっかりさせるくらいの素朴さで、
僕らに気づかれるのを待っている。
テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2021年10月10日 00:00 |
- ラパン/ミニ
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