それが「政治」なら、
現行のシステムを所与のものとして、
その中でうまく成り行く「戦略」を立て、
うまく立ち回る「戦術」を採る。
さまざまなシステムが、
なんだか気に入らないものであっても、
一度は、無批判に受け容れないと、
スタート位置にも進めない。
分別くさく、要領よく、
ものごとをこなして行くのなら、
システムに疑義を抱かずに、
素直に従ったほうがいい。
そうすれば、具体性が高くなって、
部分への分割が可能になって、
多人数での効率性が重視されて、
多数決が、当然に意味を持つ。
少し距離をおいて、斜に構えて、
システムを批判的に眺めてみると、
「哲学」や「思想」に審級が上がる。
それは、ひねくれていて、要領が悪い。
それは、抽象度が高くなって、
全体の把握が可能になって、
個人の独自性が重視されて、
多数決は、当然には意味を持たない。
受験とか、就職とか、結婚とかを、
期待通りに、予定通りに、
分別くさく、要領よく、
うまくこなして行くのなら、
「政治」だけでもいいけれど。
「政治」だけのほうがいいけれど。
―― 若者のすべて/フジファブリック
―― 志村正彦 作詞作曲、2007、EMI Music Japan
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- 2018年08月17日 00:09 |
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例えば、20年前の僕なら、
どっちでもいい、って考えていた。
結婚、なんてのは、
してもいいし、しなくてもいい。
どっちでもいい、と考えていたのは、
そう言いながらも、
みんなが、結婚を志向していて、
みんなが、その志向通りに結婚していたから。
なんだかんだ言っても、
結婚は、するもので、
さらに言えば、してしまうものだ。
そんな断定的な「思想」を共有していた。
でも、本当にどっちでもよくなると、
重ねて、どっちでもいい、なんて考えたりはしない。
改めて、どっちでもいい、なんて、
そんな間抜けなことは言えない。
わざわざ、どっちでもいい、
なんて、言わなくても、
今となっては、世の中の側が、
どっちでもいい、と言っているもの。
今になって、びっくりしている。
本当にどっちでもよかったんだ、って。
―― 結婚相談所/小島麻由美
―― 小島麻由美 作詞作曲、1995、Pony Canyon
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- 2018年08月16日 12:34 |
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「哲学」でも、「思想」でも、
何と呼ぶのも勝手にすればいいけれど、
自分は、他人よりも知的で、
鋭敏な感受性を持っている、
なんて自分で思えるような人は、
他人の知的さを知る知的さや、
他人の感受性を感受する感受性に、
欠けているだけかもしれないと、
知的でも鋭敏でもない僕なら、
負け惜しみを言ってみる。
そんな人には、
どうしたって勝てる気がしないから。
―― 遥か/スピッツ
―― 作詞、作曲、草野正宗、2001、ポリドール
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- 2018年08月08日 00:12 |
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高校の、たぶん、2年の夏休みに、
夏目漱石の『行人』を読んだ。
どんな話だったのかは、
まるで思い出せないのに、
ここだけは、しつこく憶えている。
兄さんは自分が鋭敏なだけに、
自分のこうと思った針金のように際どい線の上を渡って生活の歩を進めて行さます。
その代わり相手も同じ際どい針金の上を、
踏み外さずに進んで来てくれなければ我慢しないのです。
しかしこれが兄さんのわがままから来ると思うと間違いです。
兄さんの予期通りに兄さんに向かって働きかける世の中を想像して見ると、
それは今の世の中より遥かに進んだものでなければなりません。
従って兄さんは美的にも智的にも乃至倫理的にも
自分ほど進んでいない世の中を忌むのです。
だからただのわがままとは違うでしょう。
こんなメッセージを受け取ったら、
僕なら、自分のわがままを、
疑わざるを得なくなる。
繰り返される、わがままの否定に、
却って、わがままを自認したくなる。
「哲学」でも、「思想」でも、
何と呼ぶのも勝手にすればいいけれど、
誰もが、針金の上を歩いている気になって、
誰もが、わがままではないつもりになって、
ただのわがままを言っているのかもしれない。
世の中には、僕のように鈍感で、
美的にも、知的にも、倫理的にも劣っていて、
立派なことは何も言えない人がいて、
それでも、一つくらいは、いいことがある。
その代わり、相手は、
僕のわがままを聞かなくても済む。
ただのわがままとは違うわがままを。
―― 行人/夏目漱石 著、1913、1952、新潮文庫
―― 流れ星/スピッツ
―― 作詞、作曲、草野正宗、1999、ポリドール
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- 2018年08月07日 21:27 |
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「哲学」は、することだが、
さらに言えば、してしまうことで、
それは、もとより余計なことであり、
余計なことは、なるべくならしないほうがいい。
「哲学」に向かうリソースを、
「政治」や「戦略」や「戦術」に、
振り向けて集中させたほうが、
パフォーマンスが向上すると思われる。
それでも、考えるのなら、考えてもいいし、
考えないのなら、それでもいい。
どのように考えてもいい。
深刻でも、お気楽でも構わない。
「哲学」するときの、
考える、というのは、
考えろ、と言われても、
考えられるものではないし、
考えるな、と言われても、
考えてしまうもので、
自分でも、他人からも、
制御できないものである。
気がつけば、ついつい、
考えてきたことであり、
振り返れば、ついつい、
考えずにきたことである。
誰だって、あらゆるものごとについて、
考えを巡らせているわけではなく、
考えていないものごとについては、
考えていないことにさえ気づかない。
考える、考えない、そのどちらも、
ことさらに、ご立派なことではなく、
とりわけて、お粗末なことでもなく、
どっちでもいい、ってことになる。
自分で考えることを、
立派なことにしてしまうと、
自分が利口に思えてくるし、
自分が考えたことを、
粗末に扱われてしまうと、
他人への怒りがわいてくるけれど、
実は、できることをして、
できないことをしなかった、
たぶん、それだけのことなんだ。
―― ひまわり/小島麻由美
―― 小島麻由美 作詞作曲、2001、Pony Canyon
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- 2018年08月06日 12:14 |
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考えなくても、辞書的な定義なら、
辞書を引けばいいし、
世の中的な定義なら、
いくらでも拾ってくることができる。
検索窓に文字列を入力すればいい。
わざわざ馬鹿な自分が考えなくても、
どこかに正解が落ちている。
すでに利口な学者が考えているから、
その正解を憶えればいい。
他人が代わりに考えてくれている。
ただし、利口な他人の答が、
馬鹿な自分の答になるとは限らない。
答は、利口か馬鹿か、ではなくて、
他人か自分か、によって異なってくる。
他人が答えているのは、他人の答だ。
結婚とは何か、を「哲学」するときは、
世の中にとって結婚とは何か、ではなくて、
他人にとって結婚とは何か、でもなくて、
自分にとって結婚とは何か、になる。
馬鹿でもいいから、自分で考えるほかはない。
誰も自分の代わりにはなれないし、
誰も自分の代わりには考えてくれない。
―― エイリアンズ/キリンジ
―― 堀込泰行 作詞作曲、2000、Warner Music Japan
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- 2018年08月05日 00:02 |
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そんなのは「政治」ではない、
ってことくらいは、僕も知っていて、
受験とか、就職とか、結婚とかを、
「政治」と呼んでみる。
結婚、を例に挙げて、
「政治」を結婚にすれば、
婚活は「戦略」になる。
繰り広げられる駆け引きが「戦術」になる。
結婚するのが当然で、
その当然さに疑いを持たない時代なら、
結婚によって幸福が得られる「思想」は、
当然に世の中に行き渡っていた。
その「思想」が当然でなくなると、
自明の価値が壊れて「哲学」に向かう。
結婚とは何か。
人が人を好きになるのはなぜか、
そして、それはどういうことか。
世の中にとって、ではなく、自分にとって、
結婚とは何か、を考えるのが「哲学」だ。
そもそも、自分は、結婚したいのか、
そして、それはなぜか。
―― エイリアンズ/キリンジ
―― 堀込泰行 作詞作曲、2000、Warner Music Japan
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- 2018年08月04日 12:03 |
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不真面目に生きている僕でも、
たぶん、少しくらいは何かを考えて、
行動を選び取っているとして、
よく使われる言葉で分類してみる。
ざっくり、5つに分ければ、
哲学、思想、政治、戦略、戦術。
端っこを寄せて、3つに分ければ、
哲学・思想、政治、戦略・戦術。
それぞれを自分のこととして、
所有格をつければ、自分の哲学、自分の思想、
自分の政治、自分の戦略、自分の戦術。
最も違和があるのは、自分の政治、だろう。
政治、ってのは、間にはさまって、
なんとなく、抜け落ちて、
個人のこととは思えなくて、
なんだか、他人ごとだけど、
自分の政治、ってものがあるってことで。
魔法のコトバ 口にすれば短く
だけど効果は 凄いものがあるってことで
―― 魔法のコトバ/スピッツ
―― 作詞、作曲、草野正宗、2006、ユニバーサルJ
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- 2018年08月03日 12:05 |
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コミュニケーション能力は、
コミュニケーションができない異質な者との間で、
発揮される能力である。
言葉が通じる仲間内では、
ことさらに、コミュ力なんかなくても、
言葉が通じ合えるもの。
異質な者を批判する言葉は、
同質な仲間内で通じる言葉であり、
その批判が届かないから異質なんだ。
コミュニケーションが、
成り立たないから異質である。
言葉が通じないエイリアンたちの間で、
言葉を通じさせるのは、
もとより、できないことであり、
できないことができてしまう魔法が、
能力と呼ばれるのだろう。
キミを愛してる エイリアン
この星の僻地の僕らに 魔法をかけてみせるさ
―― エイリアンズ/キリンジ
―― 堀込泰行 作詞作曲、2000、Warner Music Japan
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- 2018年08月01日 00:12 |
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