tetsugaku poet

qinggengcai

桜の樹の下には


屍体が埋まっている、
なんてのを思い出す。
なぜ屍体が埋まっているのかは、
いまだによく解らない。

ウィキに教えてもらいに行って、
先生方の論考を読んでみたけれど、
なんだか回りくどくて難しくて、
やはり僕には無理がある。


ぶっちゃけ、春の正体は、
あちこちで孵化する大量の卵、
そこかしこで羽化する大量の幼虫、
大量の羽虫の屍骸。

急激に成長するエロスと、
あわただしいタナトス、
一気に咲き、一斉に散る桜花、
つまり、種子植物の生殖器官。

隣り合う、生と死、
重なり合う、生と性と死。


そして、人くらいなものではないか?
自らを除外して、自らの外側に春を観るのは。
春が来た、なんて、
他人事みたいに言ってるのは。







  1. 2015年03月30日 20:51 |
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春が来た


猫は夜通し鳴きやまず、
人の企ては破廉恥で、
蝶が羽化を終えた朝に、
街路樹の桜が咲いていた。

種子植物の、
生殖器官を花という。
僕たちを、
狂気に誘う春が来た。







  1. 2015年03月30日 20:34 |
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タイトなオノマトペのコード


きゅうきゅう、ぎゅうぎゅう、
きちきち、ぎちぎち、きつきつ、
きっちきち、ぎっちぎち、
つめつめ、みちみち、ぴたぴた、
ぴちぴち、ぴっちぴち、
ぱつぱつ、ぱっつんぱっつん。

密接に、圧縮されるか、または、圧縮する。
音のない音は、破裂を予期した破裂音。



世界を切り分けるのはかんたんで、
言葉をひとつ生み出せばいい。
例えば、「つめつめ」だけしかなかった世界を分節して、
例えば、「ぴちぴち」を作ればいい。
「つめつめ」と「ぴちぴち」だけの世界から、
さらに「ぴたぴた」を切り取ればいい。



細かく分節化された言葉には、
ディテールが持ち込まれる。

内圧か外圧か、どんなものから受ける圧力か、
強さの程度、不純物の割合、エロさの比重、まじめさの指数、
気軽さや、かっこよさや、馬鹿っぽさや、
さらには、あえて外した使い方をしたときの効果や、
それらのわずかな違いを感知する能力がなければ、
例えば、「ぱつぱつ」は使えない。

それにしても、世界は粉々だ。
僕たちは、こんなに多くのオノマトペを使い分けている。

    150329.jpg







  1. 2015年03月29日 21:18 |
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桑田佳祐の誤用コード


ググってみた。

    検索結果件数、
    桑田佳祐  1,450,000件

    桑田桂佑  2,050,000件
    桑田佳佑  0,241,000件
    桑田圭祐  0,184,000件
    桑田佳舗  0,058,100件
    桑田圭佑  0,028,100件
    桑田啓祐  0,004,920件
    桑田敬佑  0,002,040件
    桑田啓佑  0,001,840件
    桑田佳助  0,001,200件
    桑田桂祐  0,001,190件

「佳祐」よりも 「桂佑」のほうが多いくらいだから、
当てにはならないけれど。







  1. 2015年03月28日 18:54 |
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不規則な誤用コード


あきばはら、あきはらば、アドカボ、
アドガボ、エギンリ、エレベスト、
エベレーター、お子さラまンチ、オダンラ、
カクラマタン砂漠、カトパー、かむとぶし、
仮面ダイラー、コップポーン、シュミレーション、
スイーポトテト、ジョン・ボヴィ、ジョン・ジョン・ボヴィ、
とうころもし、とうろもこし、ブッコロリー、
ペッポドポル、ヘリポクター、巻きどもし、
ムッシュかやまつ、モーサッパン、ユトリロ、
ヨールグト、ランボルギニー、ランボルニーギ、
ワーロドーブ。

法則がありそうで、
なさそうで。







  1. 2015年03月28日 13:04 |
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僕の心が汚れているから


うつくしいものを
美しいと思える
あなたのこころがうつくしい
―― みつを

正しい。
しかし、苦手だ。



正しいのは、
同語反復で何も言っていないから。

美しいものを美しいと思える者の心は、
美しいものを美しいと思っている。

汚れたものを汚れていると思える者の心は、
汚れたものを汚れていると思っている。

まったく、正しい。



よごれたものを
汚れていると思える
あなたのこころがよごれている

これも、正しい。
そして、このほうが解りやすいと思う。

反論、受けて立つ。







  1. 2015年03月24日 22:04 |
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僕は友だちが少ない 2/2


数を表明する人がいる。
50とか、100とか、200とか、
とにかく、その人にとっては、
誰かに自慢したくなるような数なのだろう。

数で負けた人は、量より質、と言いたげだ。
高度で、充実していて、楽しくて、
とにかく、その人にとっては、
誰かに自慢したくなるような質なのだろう。

それらを横目に、独りでインドを巡り、
自転車を漕ぎ、映画を観て、釣り糸を垂れる。
とにかく、その人にとっては、
量でも質でもない、得難い体験なのだろう。

互いを潰し合うことには意味がなく、
それぞれは比較にもならない。

    150319d.jpg

「僕は友だちが少ない」
というタイトルをつけたが、
以上は、「読書」についての話である。







  1. 2015年03月22日 20:03 |
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僕は友だちが少ない 1/x


というタイトルをつけた以上は、
「僕は友だちが少ない」
というバイアスがかかる。

どんなフィルターを通せば、
友だちが少なくなるか、
つまりは、そういう話になる。

少しくらい仲良くなっても、
友だちとは呼ばない、
それだけで友だちは減る。

それほど多くの友だちは持てない、
そう気づいたら、
それだけで友だちは減る。

友だちが多い、
そう思わなくても不安にならないのなら、
それだけで友だちは減る。

    150319b.jpg







  1. 2015年03月21日 22:43 |
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不規則な接尾語コード


駆けっこ、隅っこ、慣れっこ、にらめっこ、根っこ、端っこ、
チャリンコ、泥んこ、ぺしゃんこ、
石ころ、犬ころ、
お疲れ様、ご苦労様、ご愁傷様、
お稲荷さん、お芋さん、お粥さん、おはようさん、お豆さん、
先っちょ、でぶっちょ、太っちょ、横っちょ、
ガキんちょ、
飴ちゃん、
葉っぱ、原っぱ、
下手っぴ、
田舎っぺ、言い出しっぺ、
田んぼ、
尾っぽ、空っぽ、先っぽ、
これっぽち、痩せっぽち。

不規則で、法則が見つからない。

僕たちはわずらわしい。
とりわけ、僕は、邪魔っけだ。

    150317b.jpg







  1. 2015年03月16日 20:21 |
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もの(者)コード 2/2


ただ者、たわけ者、短気者、ちゃっかり者、道化者、
道楽者、流れ者、怠け者、ならず者、成り上がり者、
軟弱者、憎まれ者、似た者、人気者、逃れ者、
のけ者、のん気者、馬鹿者、薄情者、はぐれ者、
働き者、鼻つまみ者、はみ出し者、半端者、日陰者、
卑怯者、独り者、ひねくれ者、ひょうきん者、不心得者、
無作法者、無精者、不信心者、無粋者、不調法者、
ふつつか者、不届き者、不埒者、無礼者、偏屈者、
間抜け者、回し者、未熟者、無宿者、無法者、
迷惑者、やくざ者、厄介者、やんちゃ者、余計者、
よそ者、乱暴者、利口者、律義者、若者、
笑われ者、悪者。


下接するときの「者(もの)」は、
見下しかたが半端ない。
他の語句による修飾を受けて、
ほとんどすべてが悪口になる。

ほめ言葉でも、「正直者」は馬鹿を見るし、
「律儀者」は子だくさんになる。
揶揄されているとしか思えない。

    150319c.jpg







  1. 2015年03月14日 21:03 |
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