クルマを選ぶときに重視することは何か、
なんて、そんなふうに訊くから、
価格とか、車種とか、燃費とか、
デザインとか、安全性とかが答になる。
だから、当たりまえの何かを見過ごしてしまう。
結婚相手を選ぶときに似ている。
収入、価値観、金銭感覚、外見、
性格、年齢、学歴、コミュ力、職業、
そんなのが揃っていても結婚相手にはならない。
人は、条件には恋をしないもの。
当たりまえの、好き、が抜けている。
いくつかの条件が揃っていなくても、
好きならそれを補ってなお余りある。
クルマと恋愛をしてしまう人なら、
好きだけで、あとは何もいらない。
損をしても、得をしても、たかが知れている。
燃費なんか、実際には大差ないし、
デザインなんか、今どきは、みんな一緒で、
安全性も、居住性も、どれも過剰なくらいだ。
言い切ってしまえ、条件なんかいらない、って。
自分の恋愛くらいは、自分で認めてやれ。
スペックなんて保証を求めずに。
今になってやっと分かった 頬に触れた手に
どうしてあんなに 胸がつまったか
―― 琥珀の月/DREAMS COME TRUE
―― 吉田美和 作詞、中村正人 作曲、1995、Epic/Sony Records
自分の恋愛くらいは、自分で認めてやれ。
人は、条件には恋をしないもの。
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- 2019年09月28日 00:06 |
- ラパン/ミニ
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僕としては、僕なりに、
考えてクルマを選んでいるつもり。
価格とか、車種とか、燃費とか、
そのあたりを考えていないだけで。

恋愛とは何か、なんてのが哲学、
恋愛はこんなふうであってほしい、なんてのが思想、
恋愛対象を選ぶのが政治、
恋愛対象をデートに誘えば戦略、
恋愛対象との駆け引きが戦術、
とした場合に、クルマ選び、ってのは、
政治、戦略、戦術の並びで、
形而下に下りて語るほかはない。
しかし、例えば、恋愛論的に語ることで、
政治、思想、哲学の並びで形而上に上がり、
クルマ選びは、僕にでも扱える問いになる。
中古車屋を回っていて思うのは、
具体的なことを言われても、僕には難しい。
もっと抽象的に言ってくれ。
将来 僧に成って結婚して欲しい 毎晩 寝具で遊戯するだけ
ピザ屋の彼女になってみたい そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って
―― 丸ノ内サディスティック/東京事変
―― 椎名林檎 作詞作曲、1999、東芝EMI
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- 2019年09月27日 00:06 |
- ラパン/ミニ
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>こんなクルマに乗っている人たち、
>つまり、ヤンキー的価値観の人たち、
>つまり、下品な美意識の人たち、
>それらを等号で結ぶことで、
>僕が嫌っている人たちを同じ枠にはめ込んで、
>まとめて否定できるのは好都合だけれど、
>その判断基準の不合理性とともに、
>その当否を確かめられないことにさえ無自覚で、
>そんなのは、差別を支える意識と等質である。
でも、こんなのは、嫌っているものごとに限らない。
僕たちは、同じ枠にはめ込んで、まとめて肯定もしてしまう。
例えば、枕草子、151段、うつくしきもの。
以下22行は、読み飛ばせ。
瓜(うり)にかきたるちごの顏。
雀の子の、ねず鳴きするにをどり來る。
二つ三つばかりなるちごの、
いそぎてはひ來る道に、
いとちひさき塵のありけるを目ざとに見つけて、
いとをかしげなるおよびにとらへて、
大人などに見せたる、いとうつくし。
頭(かしら)はあまそぎなるちごの、
目に髪のおほへるをかきはやらで、
うちかたぶきて物など見たるも、うつくし。
おほきにはあらぬ殿上童(てんじやうわらは)の、
さうぞきたてられてありくもうつくし。
をかしげなるちごの、
あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、
かいつきて寢たる、いとらうたし。
雛(ひひな)の調度。
蓮(はちす)の浮葉のいとちひさきを、
池より取りあげたる。
葵(あふひ)のいとちひさき。
なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。
―― 枕草子/清少納言 著
―― 池田亀鑑 校訂、1962、岩波文庫
清少納言が、うつくしきもの、として挙げたのは、
瓜に描かれた幼い子どもの顔。
雀の仔に、ちゅうちゅうって呼べば跳ねてくる。
2、3歳の子どもが、急いで這ってくる途中で、
見つけたゴミを、指でつまんで見せにくる。
前髪が目に入るから、首を傾げている子ども。
大きくはない公卿の子が、美しく着飾らせられて歩く。
子どもが、ほんの少し抱いている間に、
しがみついたまま寝てしまう。
人形遊びの道具。
蓮の浮き葉で、とても小さいのを池から取り上げる。
葵のとても小さいもの。
うつくしきもの、にしては偏っているが、
平安時代の初めは、小さいものや幼いものに対する、
かわいい、って感情が、うつくし、だった。
だから、なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし、
ってのは、ほとんど同語反復である。
小さいものは美しく、美しいものは小さい。
「綺麗になりたいと思うこと これからも忘れずにいるから
格好いいおじさんになるよう頑張ってよ」 鼻先に指が触れる
―― うん/槇原敬之
―― 槇原敬之 作詞作曲、1996、Warner Music Japan
平安の前では、うつくし、の意味は、
親子や夫婦が、互いを愛おしく思う気持ちだった。
仲よき事は美しき哉、ってやつだ。
平安の終わりになって、うつくし、ってのは、
きれい、を意味するようになってきた。
それは、まだ僕たちが言う、美しい、とは違うけれど、
人生を共にする者が、互いに向ける気持ちも、
小さいものや、幼いものに対する感情も、
僕たちは、確かに、美しい、で括ることができる。
有史以来、折り重なった日本語のテクストの層が、
美しい、で括ってくれている。
美しい、ってのは、言葉のぶ厚い層の中にある。
僕は、美しい人たちと、美しく生きたいと願うけれど、
美しい、を無理に解ろうとすれば間違える。
美しいとか、醜いとかは、人の気持ちに比べたら、
まったく意味が足りていないもの。
パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら 心遊ばせ あなたにとどけ
―― パプリカ/米津玄師
―― 米津玄師 作詞作曲、2019、SME Records
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- 2019年09月25日 00:02 |
- ラパン/ミニ
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10年くらい前に、スイーツ(笑)、ってのがあった。
自分へのご褒美(笑)、とか、意識高い系(笑)、とかも。
そんなノリで、僕の考えごとも、恋愛論的クルマ考(笑)にしたい。
少し引いて、緩くなって、「かっこ笑い」を忘れないほうがいい。
パリピの人たちがイタいのは、
あんなふうに見えて、ガチだから、と思っている。
盛り上がる、一体感、ウェイ、ノリノリ、EDM、
何のてらいもなく、約束どおりに、みんなで群れてしまう。
せめて、ネタ的に、「かっこ笑い」をつけたほうがいい。
バリピ、なんてのは、パリピ(笑)である。
何でもみんなと一緒にしていたいから、
行動を起こすたびに大人数になるのがイタい。
ハロウィン(笑)は、いつから、
あんなパリピ(笑)のイベント(笑)になったのだろう。

2018年の、大型ミニバンの販売台数で、
1位は、アルファード、58,806台、
2位は、ヴェルファイア、43,130台、
トヨタで10万台を占めている。
大きく差を開けて、3位は、オデッセイ、16,670台、
4位は、エルグランド、7,313台。
2019年の1~6月も同じ順位で、それぞれ、
35,265台、20,762台、4,720台、4,035台。
強力な多数派同調バイアスだ。
何のてらいもなく、約束どおりに、みんなで群れてしまう。
何でもみんなと一緒にしていたいから、
行動を起こすたびに大人数になるのがイタい。
しかし、トヨタを選ばなかったときでも、
それは、多数派への同調を嫌って、
逆張りをしたように思えてくるから、
結局は、多数派からは逃れられないか。
たぶん、逃げ道はないんだ。
多数派(笑)にも、少数派(笑)にも。
見渡す限りに広がった あの空を見よ 隣の国迄繋がった あの海を見よ
一先ず全てを忘れてしまった 正しい心を忘れて無かった
―― MOTHER/PUFFY
―― 奥田民生 作詞作曲、1997、Epic Records Japan
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- 2019年09月24日 00:07 |
- ラパン/ミニ
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悪口なら、誰でもいくらでも書ける。
考える、ってことが、
悪口のフレーズを考える、ってことと、
同義になっている人は多いもの。
自分の中が空っぽでも、
誰かを否定し、攻撃することによって、
自ずと立ち位置は定まってくる。
嫌いな対象が、立場を与えてくれる。
悪口を並べている人たちが、
どこに立って、どこを見つめているのかを、
意識していることは少ない。
自らの立ち位置と、視点の先を、
予め見出していることは極めて少ない。
待てこら 未だ答えは聞けちゃ居ないのさ
洗い浚い吐け 今宵は常套句なんて通用しないと思え
―― 喧嘩上等/東京事変
―― 椎名林檎 作詞作曲、2006、東芝EMI
>好きではない、って関心のなさから始まったのに、
>嫌う、って関心にジャンプして、
>大嫌い、って、強い関心に至っている。
>嫌いなら、見なきゃいいのに、
>嫌い、と言いながら、目を逸らせない。
>好きなものを見ているほうが穏やかでいられるのに。
嫌いな対象に依存した立ち位置で、
そこからの眺めを、嫌いだと言い募る。
対象から目を逸らせるわけがない。

見ていたいものを、見ていたいのに。
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- 2019年09月23日 00:01 |
- ラパン/ミニ
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下品な装飾、ってのは、きっと、
装飾に託された意味が丸出しなんだ。
アルファードの機能は、もはや、
ヤンキーが、偉そうに乗ること、になっている。
偉そうに、なんてのは、道具には望めないから、
それは、消費者が勝手に見出せばいいことで、
メーカーは、そんな下品な要求に、
あらかじめ、応えなくてもいいのに。
偉そうに、なんてのは、クルマの本質ではないから、
付加的に、補足的に、装飾で与えるほかはないが、
これだけあからさまになると恥ずかしい。
虚飾が本質にすり替わって、
消費者の求める下品さの斜め上を行く。

こんな恥知らずなパーツは誰も作らない。
アルファードを作っているトヨタのほかには。
まったく上辺だけの、嘘が丸出しの恥ずかしさ。
はづかしきもの、色このむ男の心の内。
―― 枕草子、119段
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- 2019年09月22日 00:07 |
- ラパン/ミニ
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デザインが、時代的な美意識を、
可視化するものだとすれば、
今は、上辺を取り繕う時代なのか。
ゴテゴテと複雑に盛りつけられた、
上辺の加飾を取り去ったときに、
デザインは耐えられるのか。
耐えられるのなら飾ってもいいけれど。

優れたデザインなら空白を恐れない。
黙ったままでも語りかける。
だめなデザインほど沈黙を嫌う。
多くの装飾を加えて余白を埋めないと、
だめなデザインがばれてしまう。
あるいは、わざと小さく破綻させないと、
大きな綻びから目を逸らせない。
I don't want clever conversation, I never want to work that hard
I just want someone that I can talk to, I want you Just the way you are
―― Just the Way You Are/Billy Joel
―― Billy Joel 作詞作曲、1977、Columbia Records
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- 2019年09月21日 00:04 |
- ラパン/ミニ
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>それらを等号で結ぶことで、
>僕が嫌っている人たちを同じ枠にはめ込んで、
>まとめて否定できるのは便利だけれど、
>その判断基準の不合理性とともに、
>その当否を確かめられないことにさえ無自覚で、
>そんなのは、差別を支える意識と等質である。
って知っていながら、愚考を表してみる。
愚考は、表さなければ愚考ではない。
表現することを許すから愚考になる。
愚かさとは、愚かさを表すことの許容である。
その実質は、許容の範囲を量ることで、
程度の差こそあれ、愚かであることに変わりはないが、
その愚かさが、僕を作っている。
今でも時々思い出しては 連れ出さなくてよかった事も
愛していたのも ホントだったと笑ってる
―― PENGUIN/槇原敬之
―― 槇原敬之 作詞作曲、1996、WEA MUSIC
今では、高級車に乗っている人でも、
安くてボロいクルマに彼女を乗せて、
海沿いの道を走った頃がなかったか。
ぶくぶく太って、暑苦しい顔になって、
ふんぞり返って、高みに立って、
優しくない目で、他人を見下して、
それで、気持ちよくなっているような、
偉い人になったらお終いだと、
思っていた頃がなかったか。

得たものと、失くしたものを数え上げても、
足し算にも、引き算にもならないけれど、
こんなものが欲しかったのか。
そんなあれこれを捨ててまで。
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- 2019年09月19日 00:01 |
- ラパン/ミニ
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>こんなクルマに乗っている人たち、
>つまり、ヤンキー的価値観の人たち、
>つまり、下品な美意識の人たち、
換言すれば、大きなクルマに乗っている人たち、
つまり、マッチョな強さに価値を置く人たち、
つまり、ギラギラ、ゴテゴテの醜い美意識の人たち。
それらは差別の元凶を含む。
洗いざらい吐け、って、椎名林檎が歌っている。
まだ答は聞けてはいない。
常套句なんて通用しないと思え、って。

僕たちが背負っているキリスト教的な価値観では、
小さくて弱いものは、善い。
大きくて強いものは、悪い。
善いものは美しく、悪いものは醜い。
小さいなら、悲しくて、傷(いた)ましく、
大きいなら、喜ばしくて、気分がいい。
では、弱くて、小さくて、悲しくて、
傷ましいなら、善であり、美しい。
その逆なら、悪であり、醜い。
>それらを等号で結ぶことで、
>僕が嫌っている人たちを同じ枠にはめ込んで、
>まとめて否定できるのは好都合だけれど、
>その判断基準の不合理性とともに、
>その当否を確かめられないことにさえ無自覚で、
>そんなのは、差別を支える意識と等質である。
ところで、大小や強弱は、物理の地平であり、
善悪や美醜は、概念の領分であるが、
僕たちは、属性が違うものごとを同じ枠にはめ込んで、
その当否を確かめられないことにさえ無自覚だ。
You'd be best off alone. I'm really sick so sick so sick of you.
And I hate you.
―― 喧嘩上等/東京事変
―― 椎名林檎 作詞作曲、2006、東芝EMI
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- 2019年09月17日 00:03 |
- ラパン/ミニ
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>極論に持って行くことで、早く落ち着きたい、
>好きか嫌いかの極端な二分に落とし込んで、
>早く片づけてしまいたい、ってことか。
こんなクルマに乗っている人たち、
つまり、ヤンキー的価値観の人たち、
つまり、下品な美意識の人たち、
それらを等号で結ぶことで、
僕が嫌っている人たちを同じ枠にはめ込んで、
まとめて否定できるのは好都合だけれど、
その判断基準の不合理性とともに、
その当否を確かめられないことにさえ無自覚で、
そんなのは、差別を支える意識と等質である。

嫌い、を基にした敷衍を、
嫌いの理由に混ぜ込ませてはいけない、
なんて考えながら、このクルマの顔を眺めてみて、
やっぱり、大嫌いだと思っている。
待てこら 未だ答えは聞けちゃ居ないのさ
洗い浚い吐け 今宵は常套句なんて通用しないと思え
―― 喧嘩上等/東京事変
―― 椎名林檎 作詞作曲、2006、東芝EMI
テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2019年09月16日 00:01 |
- ラパン/ミニ
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