tetsugaku poet

qinggengcai

誰だって、自分が正しい 5/x


書く、というのは、僕にとっては、
思いのほか、愚かな行為で、

しかし、愚行でなければ、
もはや、書くことの意味はなくて、



    200127e.jpg

例えば、誰からも反論されないようなことを、
反論されないように書くのなら、利口で、正解で、

それが書ければいいのかもしれないけれど、
そんなことなら、別に、わざわざ、

僕ごときが書かなくてもいいと思われる。
誰が書いても、同じようなことなら、

僕が書く意味がどこにある?



    200130.gif



    

    正解なんてないんでしょう? それはわかっていたよ
    でも、でも、生きる理由が欲しい

    ―― 命の使い方/Karin.
    ―― Karin. 作詞作曲、2020、Universal Sigma



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  1. 2020年01月31日 00:00 |
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誰だって、自分が正しい 4/x


>僕は、馬鹿みたいなことを書いてみる。
馬鹿みたいなことでも書いてみるのが正しいと思う僕がいて、
>馬鹿みたいなことでも書いてみるのが正しいと思う僕がいて、
と書いてみるのが正しいと思う僕がいる。

        >>僕は、馬鹿みたいなことを書いてみる。
        >馬鹿みたいなことでも書いてみるのが正しいと思う僕がいて、
        >>馬鹿みたいなことでも書いてみるのが正しいと思う僕がいて、
        >と書いてみるのが正しいと思う僕がいる。

        と書いてみるのが正しいと思う僕がいる。



    200127b.jpg

などと書きながら、なぜ正しいのかの根拠もなく、
と書いてみるのが正しいと思う僕がいて、
根拠もなく人は行為をするのであり、
と書いてみるのが正しいと思う僕がいる。

        >などと書きながら、なぜ正しいのかの根拠もなく、
        >と書いてみるのが正しいと思う僕がいて、
        >根拠もなく人は行為をするのであり、
        >と書いてみるのが正しいと思う僕がいる。

        と書いてみるのが正しいと思う僕がいる。



    200127a.jpg

なぜ正しいのかの根拠を示したとしても、
なぜ正しいのかの根拠がなぜ正しいのかの根拠を求められ、
その根拠の根拠を示したとしても、
その根拠の根拠が正しいという根拠が求められる。

        >なぜ正しいのかの根拠を示したとしても、
        >なぜ正しいのかの根拠がなぜ正しいのかの根拠を求められ、
        >その根拠の根拠を示したとしても、
        >その根拠の根拠が正しいという根拠が求められる。

        などと書くのが正しい根拠を、求められる僕がいる。



    200127c.jpg



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  1. 2020年01月30日 00:01 |
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誰だって、自分が正しい 3/x


>では、それが論理的に解ける問題なら、その答は、
>すべて問いの中に隠されているはずであり、
>>言われなくても分かっている、というそのことを、
>言ってみなければ分からないときがある。

何かを書いてみる理由、なんてのは、
赤ん坊の問いではない、幼児の問いでもない。
すでに書いていて、書くことに慣れてきて、
多少なりとも、論理的にも書けてきて、

その後から生まれる問いである。
問いは答に追いつけない、追い越せない。
僕たちは、書く理由を感じ始めてから、
つまり、答を得られ始めてから、

書く理由、なんてことを問い始める。



    200128a.jpg

答よりも、問いのほうが遅い。
書く理由、なんて問いの前に立たされたときは、
書くことによって、答は出される。
僕が書くことは、すなわち、僕の書く理由、って問いに、

僕が、正しく答えることである。



    

    I am God's child この腐敗した世界に堕とされた
    How do I live on such a field? こんなもののために生まれたんじゃない

    ―― 月光/鬼束ちひろ
    ―― 鬼束ちひろ 作詞作曲、2000、東芝EMI



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  1. 2020年01月29日 00:00 |
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誰だって、自分が正しい 2/x


>わざわざ誰かに言われなくても、
>そんなこと、誰でも分かっているような、
>当然のことを書くのが馬鹿みたいなのは、

>言われなくても分かっている、というそのことを、
>言われなければ分からない、という、
>その当然さが分かっていないことによるけれど、



    200125e.png

論理、ってのは、もとより、同語反復であり、
もしも、そこに別の新たな発見があるのなら、
それは、論理が飛躍していることになる。

では、それが論理的に解ける問題なら、その答は、
すべて問いの中に隠されているはずであり、
>言われなくても分かっている、というそのことを、

言ってみなければ分からないときがある。



    

    あなたはすぐに絶対などと云う あたしは何時も其れを厭がるの
    だって冷めてしまっちゃえば 其れすら嘘になるじゃない

    ―― ギブス/椎名林檎
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2000、東芝EMI



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  1. 2020年01月28日 00:00 |
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誰だって、自分が正しい 1/x


自分が正しいからといって、
相手が間違っているとは限らない。
相手だって、自分が正しいのだから。

        自分は正しい、相手も正しい、
        そんなことはいくらでもあって、
        自分は間違っている、相手も間違っている、

        そんなこともいくらでもある。



    200125d.png

わざわざ誰かに言われなくても、
そんなこと、誰でも分かっているような、
当然のことを書くのが馬鹿みたいなのは、

        言われなくても分かっている、というそのことを、
        言われなければ分からない、という、
        その当然さが分かっていないことによるけれど、

        僕は、馬鹿みたいなことを書いてみる。



    

    ああ 男の子 ちゃんと傷つけ 今は偉大なあやまちの真っ最中
    ああ 女の子 ぼくらホントにばかだけど なんでもするよ 泣かないで

    ―― ゴッホ/ドレスコーズ
    ―― 志磨遼平 作詞、the dresscodes 作曲、2013、日本コロムビア



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  1. 2020年01月27日 00:00 |
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整備手帳 ―― ミニマリストにはなれない 7/7


>では、問題は、持ち物の多さではない。
>問題は、主体性の少なさであり、
>問題は、仕向けられることである。

僕たちが、ついつい繰り返してきた勘違い。
見当違いの対立軸を作って、
逆に振れて、価値を反転させたがる。

善人なおもて往生を遂ぐ、いわんや悪人をや、
ってのが、その好例で、
その対立軸は、善人か悪人か、ではない。

善人も悪人も、他力によって往生を遂げる。
自力作善の善人は、
他力を頼む心を欠くけれど、

それでも往生を遂げるとすれば、
悪人なら、なおのこと。
善人か悪人か、の座標ではなく、

対立軸は、自力か他力か、である。



    

    本当は全部大事である 本当は全部ラビッシュであろう
    本当は全部真理である 本当は全部トリックであろう

    ―― 弁解ドビュッシー/椎名林檎
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2000、東芝EMI



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  1. 2020年01月26日 00:01 |
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整備手帳 ―― ミニマリストにはなれない 6/7


問題は、消費することではなく、
消費させられることである。

同様に、問題は、捨てることではなく、
捨てさせられることである。

問題は、ミニマリズムを選ぶことではない。
定職を得るのが困難で、

可処分所得が増えそうにないフェーズでは、
自ずと、ミニマリズムを選ばされることにある。

では、問題は、持ち物の多さではない。
問題は、主体性の少なさであり、

問題は、仕向けられることである。



    

    待てこら 未だ答えは聞けちゃ居ないのさ
    洗い浚い吐け 今宵は常套句なんて通用しないと思え

    ―― 喧嘩上等/東京事変
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2006、東芝EMI



    わたくしといふ現象は
    仮定された有機交流電燈の
    ひとつの青い照明です
    (あらゆる透明な幽霊の複合体)
    風景やみんなといつしよに
    せはしくせはしく明滅しながら
    いかにもたしかにともりつづける
    因果交流電燈の
    ひとつの青い照明です
    (ひかりはたもち その電燈は失はれ)

    これらは二十二箇月の
    過去とかんずる方角から
    紙と鉱質インクをつらね
    (すべてわたくしと明滅し
     みんなが同時に感ずるもの)
    ここまでたもちつゞけられた
    かげとひかりのひとくさりづつ
    そのとほりの心象スケツチです

    ―― 春と修羅、序/宮沢賢治



まるで、ヘーゲル、精神現象学、
Phänomenologie des Geistes、

世界はガイスト=精神・幽霊であり、
世界はガイストのフェノメノン=現象である。

主観と客観は同じ ―― 主客合一で、
ヘーゲルに言わせれば、

それは、ガイストの正面と背面であり、
宮沢賢治に言わせれば、

それは、交流信号のプラスとマイナスである。
私とは、そのように仮定された現象だ。

みんなと同期する中で、
でき上がってくる自分なら、

自分という現象が、そのまま、
社会現象の寄せ集めであり、

自分は、世の中の現象を、
あれこれ抱え込みながら明滅する。

自分の心は、世界との交流の結果であり、
風景や、みんなのガイストの複合体だ。

自分の心は、因果交流電燈のひとつの青い照明。
世界が夢を見る夜明けに、目覚めた誰かが、

思い立って、ゴミを仕分け始める。



    ―― 宮沢賢治詩集/宮沢賢治 著
    ―― 谷川徹三 編、1979、岩波文庫



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  1. 2020年01月25日 00:01 |
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整備手帳 ―― ミニマリストにはなれない 5/7


例えば、靴なんか3足で済む、なんてのは、
どこにも行かないし、何もしない、ってことだ。

プールに行かなきゃビーサンはいらない、
海に行かなきゃウォーターシューズはいらない。

山に行かなきゃトレッキングシューズはいらない、
バイクに乗らなきゃライディングブーツはいらない。

夏祭りに行かないのなら、スキー場に行かないのなら、
ランニングも、テニスも、ゴルフもしないのなら。

結婚式にも、葬式にも出ないのなら。



    200113.jpg
    @倉吉白壁土蔵群/倉吉市東仲町



どこかに行ったり、誰かに会ったりする経験の方が、
物よりも価値がある。

僕だって、もちろん、そう思っている。



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  1. 2020年01月23日 00:03 |
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整備手帳 ―― ミニマリストにはなれない 4/7


ミニマリストに従えば、
僕は、これまでも、これからも、
幸せになれそうにない。

ミニマリズムは、物を減らすことで、
家事や片づけの時間と、
消費にかかる出費を減らして、

余ったリソースを、
生産的に使える、と説くが、
生産をするにも、その多くは、

何もなければ作り出せないけれど。



    

    本当は全部大事である 本当は全部ラビッシュであろう
    本当は全部真理である 本当は全部トリックであろう

    ―― 弁解ドビュッシー/椎名林檎
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2000、東芝EMI



    作られたものは作るものを作るべく作られたのであり、
    作られたものというそのことが、
    否定せられるべきものであることを含んでいるのである。

    しかし作られたものなくして作るものというものがあるのでなく、
    作るものはまた作られたものとして作るものを作って行く。
    ―― 行為的直観/西田幾多郎

    ―― 西田幾多郎哲学論集2/西田幾多郎 著、上田閑照 編、1988、岩波文庫



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  1. 2020年01月21日 00:00 |
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整備手帳 ―― ミニマリストにはなれない 3/7


私は物質的な豊かさを捨てて、
って言いたがる人の、
精神的な豊かさに、

私は繊細だから、
って言ってしまえる人の、
図々しさを思い、

私は思慮深いので、
って言ってしまえる人の、
思慮のなさを思う。

なんて、言ってしまえば、
それもまた、すぐさま、
僕に返ってくるブーメランで、

自らの臆面のなさを思い知る。



    

    待てこら 未だ答えは聞けちゃ居ないのさ
    洗い浚い吐け 今宵は常套句なんて通用しないと思え

    ―― 喧嘩上等/東京事変
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2006、東芝EMI



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  1. 2020年01月19日 00:01 |
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