こんな歌詞に、何の意味があるのか、
なんて、合理性を問うことで、
合理性がないことを貶めたくなっても、
もとより、恋愛は非合理である。
合理性がないことをやってみたときに、
世界が見せる美しさもある。
もとより、合理性は問わない。
魔法でもない限り、郊外の見慣れた景色が、
いきなり美しくなる合理はないから。

って書いたことに、多少なりとも合理があるのなら、
合理は、必ずしも合理的である必要はなく、
合理的であることが正しいと考えること、
それ自体は、必ずしも合理的とはいえない。
合理性への無反省な帰依、
それはひとつの信仰である。
って書いたことに、多少なりとも合理があるのなら、
合理は、自らを壊すときにも、また、
多少なりとも合理性を要求するけれど。
キミが好きだよ エイリアン この星のこの僻地で
魔法をかけてみせるさ いいかい
―― エイリアンズ/秦基博
―― 堀込泰行 作詞作曲、2000、Warner Music Japan
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- 2020年03月31日 00:02 |
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恋愛を、くだらない、と言いたいのなら、
くだらない理由は、いくらでも見つかるけれど、
だから、それゆえに、しかし、
くだらなくない恋愛にしたいと思う。
くだらないかもしれないけれど、だから、
くだらなくならない恋愛にしようと思う。
確かに、くだらない、と思ったとしても、それゆえに、
しかし、くだらなくないようにさせなきゃと思う。

恋愛を、くだらない、と言いたいのなら、
その思考自体がまったく主体性を欠いている。
恋愛のせいにしてもどうにもならない。
自分たちで恋愛をおもしろくさせなきゃ、
恋愛が自分たちをおもしろがらせるわけがない。
くだらないのは、恋愛がくだらないからではなく、
くだらない人たちがくだらないからである。
泣かないでくれ ダーリン ほら 月明かりが
長い夜に寝つけない 二人の額を撫でて
―― エイリアンズ/森恵
―― 堀込泰行 作詞作曲、2000、Warner Music Japan
恋愛、ってのを、仕事や、勉強や、
世の中や、今の時代や、世界に置き換えてもいい。
生きること、人生丸ごとを代入することだってできる。
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- 2020年03月30日 00:00 |
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恋愛を介在させることで、
身の周りの世界が見せる美しさ。
それを揶揄して、お花畑、とも言う。
恋愛も、美しさも、ふわふわで、
定義が揺れる印象論だから、
批判は、いたって簡単で、
そんなものは、美しいとは言えない、
本当の恋愛は、そんなものではない、
なんて反論が、容易に成立する。

それにしたって、印象だから、
何を思っても、何も思わなくてもいいような、
反論っぽい感想みたいな、気分のようなもの。
議論の余地はあったとしても、
決着しないし、しなくてもいいし、
させる気にもなれないような、
そんな議論の余地だけがある。
そうさ 僕らはエイリアンズ
街灯に沿って歩けば ごらん 新世界のようさ
―― エイリアンズ/キリンジ
―― 堀込泰行 作詞作曲、2000、Warner Music Japan
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- 2020年03月29日 00:00 |
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誰だって、自分が正しい、としても、
自分が知らない概念や文化なら、
正しいか、正しくないかの判断はつかない。
その多くは、今どきの、新しい概念や文化だが、
自分が理解できないものごとへの対処として、
最も簡単な方法は、否定することである。
すなわち、今どきの、薄っぺらの、くだらない概念や文化は、
薄っぺらで、くだらないゆえに理解する価値もない、
って循環で否定して、終わらせることである。
しかし、理解できないものごとに対して、
軽薄とか、陳腐なんて評価を与え続けていると、
やがては、薄っぺらで、くだらないものごとに、
次第に包囲されて行くことになるだろう。
理解できないものごとなのに、
軽薄とか、陳腐なんて評価を与えるのは矛盾であるが、
その矛盾は、軽薄で陳腐なものごとに囲まれるような、
望ましくない環境に身を置き続ける矛盾を招く。
誰だって、自分が正しくて、そして、
自分が正しければ、逃げ道はないのだ。
忙しない 日常の中で 歳だけを重ねた
その向こう側に 待ち受けるのは 天国か地獄か
―― 白日/森恵
―― 常田大希 作詞作曲、2019、Ariola Japan
私はかつて正しかったし、
今もなお正しい。
いつも、私は正しいのだ。
私はこのように生きたが、
また別の風にも生きられるだろう。
私はこれをして、あれをしなかった。
こんなことはしなかったが、
別なことはした。
そして、その後は?
私はまるで、あの瞬間、
自分の正当さを証明されるあの夜明けを、
ずうっと待ち続けていたようだった。
―― 異邦人/アルベール・カミュ著
―― 窪田啓作訳、1942、1954、新潮文庫

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- 2020年03月28日 00:00 |
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人は、一人でいるときには、正常を装わなくてもいい。
一人のときなら、異常な行動は、異常ではない。
人は、一人で考えることなら、何を考えてもいい。
不道徳でも、支離滅裂でも、異常ではない。
眠る前の、いかがわしい妄想は、
誰にも言わなければ、猥褻(わいせつ)にはならない。
起き抜けの、愚かしい夢も、
誰にも聞かせなければ、愚考にはならない。
言ってしまうことが、猥褻になり、
聞かせてしまうことが、愚考になるだけで、
誰もが、猥褻や愚考を内側に留めて、
外に出さないことを正常と呼んでいる。
例えば、引きこもるという環境に、
身を置き続けることの危険性は、
いくらでも異常でいられることであり、
正常でいなければならない必要がないことである。
つまり、他人がいない世界に、異常はない。

真っ白に全てさよなら 降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ 今日だけは 全てを隠してくれ
―― 白日/King Gnu
―― 常田大希 作詞作曲、2019、Ariola Japan
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- 2020年03月23日 00:00 |
- 自分らしさ
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>書けるようにしてくれと頼んだ憶えはないが、
>僕には、頼んでいたのと大差はない。
>いまさら、書けなくなることは望まないし、
生んでくれと頼んだ憶えはないが、
僕には、頼んでいたのと大差はない。
いまさら、生きられなくなることは望まないし、
>僕に、書けるようにしてくれて、
>僕は、それを受容し、それを感謝し、
>それで良かった、と肯定できるもの。
僕に、生きるようにしてくれて、
僕は、それを受容し、それを感謝し、
それで良かった、と肯定できるもの。
>仮に、書くことができる現状を排除し、怨嗟を募らせ、
>それを悪いと否定する記述があったとしても、
>基点は、書けてしまっている、ってことにある。
仮に、生きることができる現状を排除し、怨嗟を募らせ、
それを悪いと否定する思考があったとしても、
基点は、生きてしまっている、ってことにある。
>無理に答えようとするから間違える。
>分からないことには、答えない。
>馬鹿なふりをして、ゼロ記号で答えよう。
>答えなくても、すでに解答済みだから。
無理に答えようとするから間違える。
分からないことには、答えない。
生きることにおいて、最も必要なことは、
答のない問いに耐える鈍感さではないのか。

いつだって人は鈍感だもの わかりゃしないんだ肚の中
それでも愛し愛され 生きて行くのが定めと知って
―― 白日/Goose house
―― 常田大希 作詞作曲、2019、Ariola Japan
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- 2020年03月21日 00:00 |
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