>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
>それは、自由に対する罪である。
もっとも、今どきは、外に出なくても自由になれる。
何だって分かったつもりになれる。
例えば、わざわざ美術館に行かなくても、
絵なんか、いくらでもネットに落ちているけれど。
しかし、読むのも、書くのも、観るのも、
何だって身体的な行為だから、
本を読むのと、モニタのスクリーンフォントを読むのは違う。
紙に書くのと、キーボードで入力するのは違う。
展示室の壁に掛けられた絵と、
モニタに映るビットマップは違う。
同じ情報を扱っているとしても、
自分の身体が、違う、と言ってくる。
そんな身体を備える気がない人なら、
何だって分かったつもりになればいいけれど。
大切なことは言葉にならない 夏の日に起きた全て
思いがけず光るのは 海の幽霊
―― 海の幽霊/米津玄師
―― 米津玄師 作詞作曲、2019、Sony Music Records
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- 2020年06月17日 00:00 |
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>自分という現象は、そのまま、社会現象である。
社会と自分を分けて考えることはできないから、
まずは、自分に問うべきである。
自分が観ている社会が、不自由な社会なら、
それは、不自由な自分が内面に作り上げた、
自分が観たがっている社会の投影にほかならない。
>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
もしも、不自由な自分を、自分で恥じているのなら、
引きこもりを、誰よりも強く、切実に嫌っているのは、
当の引きこもり自身である。
でなければ、平然としていればいい。
疲れたその目で何を言う 傷跡隠して歩いた
そのくせ影をばら撒いた 気づいて欲しかった
―― 馬と鹿/米津玄師
―― 米津玄師 作詞作曲、2019、SME Records
>自由に、学べる、働ける。
>自由に、他人とつき合える、恋もできる。
>自由に、遠くに行ける。
そんな人なら、自由は当為で、問題にもならない。
ことさらに、対蹠点に引きこもりを置くこともなく、
わざわざ、引きこもりに対して、誇る、ということもない。
当たりまえに、平然としていればいい。
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- 2020年06月16日 00:00 |
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>不自由から逃れるための最も簡単な解法は、
>僕もよくやってしまうけれど、嫌う、ということ。
そして、自由から逃れるための最も簡単な解法も、
よくやってしまう、嫌う、ということ。
昔から、口だけの人が嫌いだった。
自分を棚に上げて、偉そうなことを言う人とか。
教育論を唱えながら、自分の子どもには見向きもせずに、
次々に養育院に放り込む思想家とか。
老齢になって、失明しても、性欲を抑えられなくて、
自分の女性関係のくだらなさを、歎異抄で正当化する宗教家とか。
しかし、それも、彼らの自由なのだろう。
正直な甘えん坊のような自由だったとしても。
嫌い、というよりも、うっかり、自由になって、
彼らのような自分になってしまう怖さ。
ついつい、彼らのように自由になってしまう弱さ。
改めて、自由は、責任、responsibility を伴う、と思う。
善悪は、自由の閾値である、と思う。
あまりにくだらない 願いが消えない
誰にも奪えない魂
―― 馬と鹿/米津玄師
―― 米津玄師 作詞作曲、2019、SME Records
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- 2020年06月15日 00:00 |
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他人がしていることを、くだらない、と思うことで、
自分がしていることは、価値がある、と思える。
二極思考の、シーソーのような発想は、
もちろん、不合理な信仰であり、
他人がしていることを、くだらない、と思っても、
自分がしていることの価値や、くだらなさは、
増えることもないし、減ることもない。
どちらもくだらない、ってことも大いにあり得る。

幾つもの選択肢があるはずなのに、
なぜか、二つしかないように思い込んで、
そして、二者択一になった途端に、
なぜか、どちらかが正しいと思い込んでしまうのも、
もちろん、不合理な信仰である。
くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く
いつの日か輝くだろう あふれる熱い涙
―― 今宵の月のように/エレファントカシマシ
―― 宮本浩次 作詞作曲、1997、ポニーキャニオン
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- 2020年06月14日 00:00 |
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>できないことをしないのは、
>単なる不自由としか言いようがない。
不自由から逃れるための最も簡単な解法は、
僕もよくやってしまうけれど、嫌う、ということ。
できないから嫌い、なのではなく、
嫌いだからしない、に転倒させること。
くだらないことを、つまらないことを、
している人を馬鹿にする、ということ。
くだらないから、つまらないから、
している人を嗤う、ということ。
できる、とか、できない、の埒外で、
くだらないことなんて、できないもの。
つまらないことなんて、したくないもの。
いつまでも続くのか 吐きすてて寝転んだ
俺もまた輝くだろう 今宵の月のように
―― 今宵の月のように/エレファントカシマシ
―― 宮本浩次 作詞作曲、1997、ポニーキャニオン
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- 2020年06月13日 00:00 |
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>大人なら、自由になろうとしなければ、
>自由になれないことを知っている。
それでも、大人なら、しない自由を持っている。
ただし、できない人には、しない自由がない。
自由に、学べる、働ける。
自由に、他人とつき合える、恋もできる。
自由に、遠くに行ける。
一度は、そんな自分にならなければ自由はない。
freedom は、生まれつき備わっている権利だが、
生まれつき備わっているability、能力ではない。
自由を行使できる自分にならなければ、
もとより、失われてしまう自由である。
自由に、学べる、働ける。
自由に、他人とつき合える、恋もできる。
自由に、遠くに行けるけれど、
今は何もしないときに、しない自由がある。
やろうと思えば、いつだってできるときに、
できることをしないのは、
自由な判断による、自由な選択である。
しかし、できないことをしないのは、
単なる不自由としか言いようがない。

借りものゝ命がひとつ 厚かましく使ひ込むで返せ
さあ貪れ笑ひ飛ばすのさ 誰も通れぬ程狭き道をゆけ
―― 獣ゆく細道/椎名林檎、宮本浩次
―― 椎名林檎 作詞作曲、2018、EMI Records Japan
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- 2020年06月12日 00:00 |
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>自由に、学びたい、働きたい。
>自由に、他人とつき合いたい、恋をしたい。
>自由に、遠くに行きたい。
>「freedom」が意味する自由は、受動的で、
>当然に、誰にでも備わっている自由であり、
>自由は、留保をつけずに与えられるものである。
しかし、与えられただけでは、自由ではない。
与えられるだけの子どもに対して、自由に学び、働き、
なんて言っても意味が伝わるとは思えない。
それは、もっと大人になってからの仕事である。

大人なら、自由になろうとしなければ、
自由になれないことを知っている。
学ぼうとしなければ、学べない。
働こうとしなければ、働けない。
他人とつき合えるように、恋ができるように、
遠くに行けるように努力しなければ、
少しも自由になれないことを知っている。
今という時代は 言うほど悪くはない
また一歩 次の一歩 靴紐を結び直して
―― 足音 ~ Be Strong/Mr.Children
―― 桜井和寿 作詞作曲、2014、トイズファクトリー
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- 2020年06月09日 00:00 |
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>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
>それは、自由に対する罪である。
そんなのは、僕なら、直ちに、
自分に対する不正だと思うけれど、
自分にそれを許すかどうかは、
自分の良心に訊くしかないだろう。
「良心」を意味する英語の「conscience」は、
com、つまり、共に、scire、つまり、知る。
社会一般的な規範意識に照らして、
善悪を測る心の働きになる。
語源には、良い心を意味する要素はない。
自分が思う自分の良い心なんて、
そんなものに訊いても、当てにはならない。
良心、ってのは、独善を排して、
他人と共に知る、ってことだ。
自分だけではなくて、自分たちと共に知る。

良心に訊いてみる。
>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
独善を排して、他人と共に知る者なら、
自分にそれを許すかどうか。
歩き出すことさえも いちいちためらうくせに
つまらない常識など つぶせると思ってた
―― 夜空ノムコウ/Uru
―― スガシカオ 作詞、川村結花 作曲、1998、ビクターエンタテインメント
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- 2020年06月07日 00:00 |
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>ふわふわと、「社会」なんて言うから、
>自分の外側に「社会」があると思って対立してしまう。
>試みに、「人間交際」に置き換えて代入してみると、
>自分という現象は、そのまま、社会現象である。
重々しく、「責任」なんて言うから、
応答する義務を負わされてしまう。
>責任を意味する英語のresponsibility は、
>respons、つまり、応答する、ability、つまり、能力。
自由に判断し、自由に行動できる者なら、
当然に発揮できる能力である。
逆に言えば、応答能力があるから、
自由に判断し、自由に行動できる。
裏を返せば、応答能力がないのなら、
自由な判断も、自由な行動もできない。

パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら 心遊ばせ あなたにとどけ
―― パプリカ/Goose house
―― 米津玄師 作詞作曲、2018、SME Records
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- 2020年06月06日 00:00 |
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>自由に、学びたい、働きたい。
>自由に、他人とつき合いたい、恋をしたい。
>自由に、遠くに行きたい。
>僕たちには、あらかじめ、当たりまえに、
>そんな自由が与えられている。
「freedom」が意味する自由は、受動的で、
当然に、誰にでも備わっている自由であり、
この自由に対する侵害は許されない。
人の身体を、一定の場所に拘束して、
移動の自由を奪えば、監禁罪を構成する。
自分を、学ばせない、働かせない。
他人とつき合わせない、恋をさせない。
部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
僕たちに、あらかじめ、当たりまえに備わっている、
そんな「freedom」を奪うのなら、
それは、自由に対する罪である。

あたまとからだ 丸で食ひ違ふ
人間たる前の単に率直な感度を頼つてゐたいと思ふ さう正体は獣
―― 獣ゆく細道/椎名林檎、宮本浩次
―― 椎名林檎 作詞作曲、2018、EMI Records Japan
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- 2020年06月05日 00:00 |
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