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qinggengcai

freedom と liberty と 不合理な信仰 5/x


>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
>それは、自由に対する罪である。

もっとも、今どきは、外に出なくても自由になれる。
何だって分かったつもりになれる。
例えば、わざわざ美術館に行かなくても、
絵なんか、いくらでもネットに落ちているけれど。

しかし、読むのも、書くのも、観るのも、
何だって身体的な行為だから、
本を読むのと、モニタのスクリーンフォントを読むのは違う。
紙に書くのと、キーボードで入力するのは違う。

展示室の壁に掛けられた絵と、
モニタに映るビットマップは違う。
同じ情報を扱っているとしても、
自分の身体が、違う、と言ってくる。

そんな身体を備える気がない人なら、
何だって分かったつもりになればいいけれど。



    

    大切なことは言葉にならない 夏の日に起きた全て
    思いがけず光るのは 海の幽霊

    ―― 海の幽霊/米津玄師
    ―― 米津玄師 作詞作曲、2019、Sony Music Records



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  1. 2020年06月17日 00:00 |
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freedom と liberty と 不合理な信仰 4/x


>自分という現象は、そのまま、社会現象である。
社会と自分を分けて考えることはできないから、
まずは、自分に問うべきである。

自分が観ている社会が、不自由な社会なら、
それは、不自由な自分が内面に作り上げた、
自分が観たがっている社会の投影にほかならない。

>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。

もしも、不自由な自分を、自分で恥じているのなら、
引きこもりを、誰よりも強く、切実に嫌っているのは、
当の引きこもり自身である。

でなければ、平然としていればいい。



    

    疲れたその目で何を言う 傷跡隠して歩いた
    そのくせ影をばら撒いた 気づいて欲しかった

    ―― 馬と鹿/米津玄師
    ―― 米津玄師 作詞作曲、2019、SME Records



>自由に、学べる、働ける。
>自由に、他人とつき合える、恋もできる。
>自由に、遠くに行ける。

そんな人なら、自由は当為で、問題にもならない。
ことさらに、対蹠点に引きこもりを置くこともなく、
わざわざ、引きこもりに対して、誇る、ということもない。

当たりまえに、平然としていればいい。



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  1. 2020年06月16日 00:00 |
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freedom と liberty と 不合理な信仰 3/x


>不自由から逃れるための最も簡単な解法は、
>僕もよくやってしまうけれど、嫌う、ということ。
        そして、自由から逃れるための最も簡単な解法も、
        よくやってしまう、嫌う、ということ。

昔から、口だけの人が嫌いだった。
自分を棚に上げて、偉そうなことを言う人とか。
        教育論を唱えながら、自分の子どもには見向きもせずに、
        次々に養育院に放り込む思想家とか。

老齢になって、失明しても、性欲を抑えられなくて、
自分の女性関係のくだらなさを、歎異抄で正当化する宗教家とか。
        しかし、それも、彼らの自由なのだろう。
        正直な甘えん坊のような自由だったとしても。

嫌い、というよりも、うっかり、自由になって、
彼らのような自分になってしまう怖さ。
        ついつい、彼らのように自由になってしまう弱さ。
        改めて、自由は、責任、responsibility を伴う、と思う。

        善悪は、自由の閾値である、と思う。



    

    あまりにくだらない 願いが消えない
    誰にも奪えない魂

    ―― 馬と鹿/米津玄師
    ―― 米津玄師 作詞作曲、2019、SME Records



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  1. 2020年06月15日 00:00 |
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freedom と liberty と 不合理な信仰 2/x


他人がしていることを、くだらない、と思うことで、
自分がしていることは、価値がある、と思える。
二極思考の、シーソーのような発想は、
もちろん、不合理な信仰であり、

他人がしていることを、くだらない、と思っても、
自分がしていることの価値や、くだらなさは、
増えることもないし、減ることもない。
どちらもくだらない、ってことも大いにあり得る。



    200613.jpg

幾つもの選択肢があるはずなのに、
なぜか、二つしかないように思い込んで、
そして、二者択一になった途端に、
なぜか、どちらかが正しいと思い込んでしまうのも、

もちろん、不合理な信仰である。



    

    くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く
    いつの日か輝くだろう あふれる熱い涙

    ―― 今宵の月のように/エレファントカシマシ
    ―― 宮本浩次 作詞作曲、1997、ポニーキャニオン



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  1. 2020年06月14日 00:00 |
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freedom と liberty と 不合理な信仰 1/x


>できないことをしないのは、
>単なる不自由としか言いようがない。
        不自由から逃れるための最も簡単な解法は、
        僕もよくやってしまうけれど、嫌う、ということ。

できないから嫌い、なのではなく、
嫌いだからしない、に転倒させること。
        くだらないことを、つまらないことを、
        している人を馬鹿にする、ということ。

くだらないから、つまらないから、
している人を嗤う、ということ。
        できる、とか、できない、の埒外で、
        くだらないことなんて、できないもの。

        つまらないことなんて、したくないもの。



    

    いつまでも続くのか 吐きすてて寝転んだ
    俺もまた輝くだろう 今宵の月のように

    ―― 今宵の月のように/エレファントカシマシ
    ―― 宮本浩次 作詞作曲、1997、ポニーキャニオン



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  1. 2020年06月13日 00:00 |
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freedom と liberty 15/15


>大人なら、自由になろうとしなければ、
>自由になれないことを知っている。
それでも、大人なら、しない自由を持っている。
ただし、できない人には、しない自由がない。

自由に、学べる、働ける。
自由に、他人とつき合える、恋もできる。
自由に、遠くに行ける。
一度は、そんな自分にならなければ自由はない。

freedom は、生まれつき備わっている権利だが、
生まれつき備わっているability、能力ではない。
自由を行使できる自分にならなければ、
もとより、失われてしまう自由である。

自由に、学べる、働ける。
自由に、他人とつき合える、恋もできる。
自由に、遠くに行けるけれど、
今は何もしないときに、しない自由がある。

やろうと思えば、いつだってできるときに、
できることをしないのは、
自由な判断による、自由な選択である。
しかし、できないことをしないのは、

単なる不自由としか言いようがない。



    190513.png

    

    借りものゝ命がひとつ 厚かましく使ひ込むで返せ
    さあ貪れ笑ひ飛ばすのさ 誰も通れぬ程狭き道をゆけ

    ―― 獣ゆく細道/椎名林檎、宮本浩次
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2018、EMI Records Japan



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  1. 2020年06月12日 00:00 |
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freedom と liberty 14/15


>自由に、学びたい、働きたい。
>自由に、他人とつき合いたい、恋をしたい。
>自由に、遠くに行きたい。

>「freedom」が意味する自由は、受動的で、
>当然に、誰にでも備わっている自由であり、
>自由は、留保をつけずに与えられるものである。

しかし、与えられただけでは、自由ではない。
与えられるだけの子どもに対して、自由に学び、働き、
なんて言っても意味が伝わるとは思えない。

それは、もっと大人になってからの仕事である。



    200523h.jpg

大人なら、自由になろうとしなければ、
自由になれないことを知っている。
学ぼうとしなければ、学べない。

働こうとしなければ、働けない。
他人とつき合えるように、恋ができるように、
遠くに行けるように努力しなければ、

少しも自由になれないことを知っている。



    

    今という時代は 言うほど悪くはない
    また一歩 次の一歩 靴紐を結び直して

    ―― 足音 ~ Be Strong/Mr.Children
    ―― 桜井和寿 作詞作曲、2014、トイズファクトリー



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  1. 2020年06月09日 00:00 |
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freedom と liberty 13/15


>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
>それは、自由に対する罪である。

そんなのは、僕なら、直ちに、
自分に対する不正だと思うけれど、
自分にそれを許すかどうかは、
自分の良心に訊くしかないだろう。

「良心」を意味する英語の「conscience」は、
com、つまり、共に、scire、つまり、知る。
社会一般的な規範意識に照らして、
善悪を測る心の働きになる。

語源には、良い心を意味する要素はない。
自分が思う自分の良い心なんて、
そんなものに訊いても、当てにはならない。
良心、ってのは、独善を排して、

他人と共に知る、ってことだ。
自分だけではなくて、自分たちと共に知る。



    200523g.jpg

良心に訊いてみる。
>自らを、学ばせない、働かせない。
>他人とつき合わせない、恋をさせない。
>部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。

独善を排して、他人と共に知る者なら、
自分にそれを許すかどうか。



    

    歩き出すことさえも いちいちためらうくせに
    つまらない常識など つぶせると思ってた

    ―― 夜空ノムコウ/Uru
    ―― スガシカオ 作詞、川村結花 作曲、1998、ビクターエンタテインメント



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  1. 2020年06月07日 00:00 |
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freedom と liberty 12/15


>ふわふわと、「社会」なんて言うから、
>自分の外側に「社会」があると思って対立してしまう。
>試みに、「人間交際」に置き換えて代入してみると、
>自分という現象は、そのまま、社会現象である。

重々しく、「責任」なんて言うから、
応答する義務を負わされてしまう。
>責任を意味する英語のresponsibility は、
>respons、つまり、応答する、ability、つまり、能力。

自由に判断し、自由に行動できる者なら、
当然に発揮できる能力である。
逆に言えば、応答能力があるから、
自由に判断し、自由に行動できる。

裏を返せば、応答能力がないのなら、
自由な判断も、自由な行動もできない。



    130606.png

    

    パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう
    ハレルヤ 夢を描いたなら 心遊ばせ あなたにとどけ

    ―― パプリカ/Goose house
    ―― 米津玄師 作詞作曲、2018、SME Records



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  1. 2020年06月06日 00:00 |
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freedom と liberty 11/15


>自由に、学びたい、働きたい。
>自由に、他人とつき合いたい、恋をしたい。
>自由に、遠くに行きたい。
>僕たちには、あらかじめ、当たりまえに、
>そんな自由が与えられている。

「freedom」が意味する自由は、受動的で、
当然に、誰にでも備わっている自由であり、
この自由に対する侵害は許されない。
人の身体を、一定の場所に拘束して、
移動の自由を奪えば、監禁罪を構成する。

自分を、学ばせない、働かせない。
他人とつき合わせない、恋をさせない。
部屋に閉じ込めて、どこにも行かせない。
僕たちに、あらかじめ、当たりまえに備わっている、
そんな「freedom」を奪うのなら、

それは、自由に対する罪である。



    190513.png

    

    あたまとからだ 丸で食ひ違ふ
    人間たる前の単に率直な感度を頼つてゐたいと思ふ さう正体は獣

    ―― 獣ゆく細道/椎名林檎、宮本浩次
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2018、EMI Records Japan



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  1. 2020年06月05日 00:00 |
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