tetsugaku poet

qinggengcai

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 10/20


046、
>愛、なんてのは、無意味。
>愛なら、裏切られて、苦しむことに役立てる。

新しい苦悩の理由を手に入れるために、
愛に裏切られたいと願う ―― これが私の惨苦だ。
というのも、私達に私達の失墜を啓示するのは愛だけだから。
―― 絶望のきわみで


047、
>働く、なんてのは、無意味。
>もっぱら労働への愛のために全力を挙げて働き、

つまらぬ成果しかもたらさぬ努力に喜びを見出し、
絶えざる労苦によってしか自己実現はできぬと考える
―― これは理解に苦しむ言語道断のことだ。
―― 絶望のきわみで


048、
>仕事、なんてのは、無意味。
>寝転んで、嘆いたり呻いたりするほうに意味がある。

根源的なものを垣間みたければ、
どんな職業にもたずさわってはいけない。
一日中、横になったまま、嘆いたり呻いたりすることだ。
―― 告白と呪詛


049、
>行動、なんてのは、無意味。
>僕たちに健全な部分があるとすれば、

それはすべて私たちの怠け癖のたまものである。
行為に移ることをせず、
計画や意図を実行しようとしない無能力のおかげである。
―― 生誕の災厄


050、
>生まれないことは、幸福。
>生まれないことは、自由。

生れないこと、それを考えただけで、
なんという幸福、なんという自由、
なんという広やかな空間に恵まれることか!
―― 生誕の災厄



    200825.jpg

    誰からも愛されず、何も行動しないで、
    一日中、寝転がって、嘆いたり呻いたりしていたら、
    誰だって生きているのがいやになるが、それって、
    こんな本を読まなきゃ分からないことか。



    200829.jpg

    そんな本10冊で、こんなギターが買えるのなら、
    断然、こっちのほうがよくないか。
    ただし、こっちのほうがいいのは、まずは、
    こんなギターを弾かなきゃ分からないことだ。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月31日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 9/20


041、
>そんなルールのゲームはする気がしない。

ルールがゲームを構成しているときに、
ルールが間違えているはずがない。
例えば、囲碁なら、囲碁のルールが囲碁である。
こんなのは囲碁とは呼ばない、とか、
本当の囲碁はこんなものではない、とか、
それらは、すでに構成されたルールに依拠する話で、
否定するのは無理な話だ。


042、
>そんなルールの恋愛はする気がしない。

できないことは、しなくてもいいけれど。
恋愛なんてする気がしない、
恋愛をする意味が分からない、
なんて言われても、応える気がしない。
わざわざしなきゃならないことではない。
そんなのは、恋愛に価値を置いた環境で、
途中まで育たないと、無理なのではないか。


043、
>そんなルールの勉強はする気がしない。

できないことは、しなくてもいいけれど。
損得抜きに勉強する人もいるし、
何か得をすることがなければできない人もいるが、
しなくてもいい環境に置かれたときは、
わざわざしなきゃならないことではない。
今年は、まだ一冊も本を読んでいない、
そんな大人は、いくらでもいる。


044、
>そんなルールの努力はする気がしない。

できないことは、しなくてもいいけれど。
努力する能力は、すべての人が、
生得的に持ち合わせているわけでもないし、
等しく習得しているわけでもないだろう。
しなくてもいい環境に置かれたときは、
努力などやりようがないのが当然で、
わざわざしなきゃならないことではない。


045、
>そんなルールの人づきあいはする気がしない。

できないことは、しなくてもいいけれど。
できないことをしようとしても仕方がない。
ルールを否定した人づきあいは、できないことである。
こんなのは人づきあいとは呼ばない、とか、
本当の人づきあいはこんなものではない、とか、
それらは、すでに構成されたルールに依拠する話で、
否定するのは無理な話だ。



    200721e.png



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月30日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 8/20


036、
>反出生主義、って?

ウィキをそのままコピペすると、
>反出生主義(はんしゅっしょうしゅぎ、英: Antinatalism)とは、
>子供を持つ事に対して否定的な意見を持つ哲学的な立場である。
>アルトゥル・ショーペンハウアーやエミール・シオラン、
>デイヴィッド・ベネターらが反出生主義の擁護者として知られている。



    200825.jpg

037、
>自分が、子どもを持つことに対して否定的?

たいていは、自分が生まれたくなかった、ってことを基点にする。
自分が生きていてもつまらないから、反出生主義に立つ。
だから、そんなのは、そう思う人たちの間で、
思うままに言い合ってくれても構わないけれど、
それなら、生まれてきてよかった、という思いでも大差はない。


038、
>人が、子どもを持つことに対して否定的?

哲学的な立場、というからにはそうなるのだろう。
しかし、哲学は、まだ何も始めていない誰かに、
分かったふりをさせるためのものだろうか。
或いは、自分は子どもを持たないのに、哲学を振りかざして、
子どもを持つ誰かを否定するためのものだろうか。


039、
>では、自分は、子どもを持つことに対して肯定的?

二極にするのなら、なんとなく肯定的になる。
僕は、何が正しいのかも知らないし、
必ずしも、正しいことをしなきゃならないわけではない。
手放しで、生まれてきてよかった、とは思えないけれど、
しかし、自分が生まれたことを害悪とも思えない。


040、
>では、自分は、人が、子どもを持つことに対して肯定的?

二極にするのなら、なんとなく肯定的になる。
善くも悪くもあり得ないから、肯定も否定もあり得ない。
生命の誕生は、ディオニュソス的で、偶有的で、非対称で、
矛盾に満ちているが、それは、誤りでもなく、悪いことでもなく、
必ずしも、解決すべきことでもないと思う。



    200829.jpg

    Oops! I did it again.
    Pacifica 112V SOB、買ってしまった。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月29日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 7/20


031、
>生まれてきたことは、愚かしい。

「自分が生まれてきたこと」が愚かしいとしても、
「人が生まれてきたこと」が愚かしいとは限らない。
そんなのは、愚かしいと思う人たちの間で、
勝手にそう思っていてくれても構わないが、
深刻ぶってみせても、それは、
生まれてきてよかった、という純朴な感想と大差はない。


032、
>生まれてきたことは、害悪である。

「自分が生まれてきたこと」が害悪だとしても、
「人が生まれてきたこと」が害悪とは限らない。
そんなのは、害悪と思う人たちの間で、
勝手にそう思っていてくれても構わないが、
深刻ぶってみせても、それは、
生まれてきてよかった、という純朴な感想と大差はない。


033、
>生まれてきたことは、災厄である。

「自分が生まれてきたこと」が災厄だとしても、
「人が生まれてきたこと」が災厄とは限らない。
そんなのは、災厄と思う人たちの間で、
勝手にそう思っていてくれても構わないが、
深刻ぶってみせても、それは、
生まれてきてよかった、という純朴な感想と大差はない。


034、
>生まれてきたことは、無価値である。

「自分が生まれてきたこと」に価値がないとしても、
「人が生まれてきたこと」に価値がないとは限らない。
そんなのは、価値がないと思う人たちの間で、
勝手にそう思っていてくれても構わないが、
深刻ぶってみせても、それは、
生まれてきてよかった、という純朴な感想と大差はない。


035、
>生まれてきたことは、無意味である。

「自分が生まれてきたこと」に意味がないとしても、
「人が生まれてきたこと」に意味がないとは限らない。
そんなのは、意味がないと思う人たちの間で、
勝手にそう思っていてくれても構わないが、
深刻ぶってみせても、それは、
生まれてきてよかった、という純朴な感想と大差はない。



    200721d.png



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月28日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 6/20


026、
>ゲームのルールに従わない人は、
>ゲームをしていない。

ゲームをするには、ゲームのルールに従わざるを得ない。
ゲームのルールが、ゲームを構成する。
ルールの外し方が、その人らしさであっても、
まったく逸脱しているのなら、そもそも、ゲームをしていない。
誰もそれを、ゲームをしているとは思えないからである。


027、
>恋愛のルールに従わない人は、
>恋をしていない。

恋愛をするには、恋愛のルールに従わざるを得ない。
恋愛のルールが、恋愛を構成する。
ルールの外し方が、その人らしさであっても、
まったく逸脱しているのなら、そもそも、恋をしていない。
誰もそれを、恋をしているとは思えないからである。


028、
>学ぶことのルールに従わない人は、
>学んでいない。

学ぶには、学ぶことのルールに従わざるを得ない。
学ぶことのルールが、学ぶことを構成する。
ルールの外し方が、その人らしさであっても、
まったく逸脱しているのなら、そもそも、学んでいない。
誰もそれを、学んでいるとは思えないからである。


029、
>努力のルールに従わない人は、
>努力をしていない。

努力をするには、努力のルールに従わざるを得ない。
努力のルールが、努力を構成する。
ルールの外し方が、その人らしさであっても、
まったく逸脱しているのなら、そもそも、努力をしていない。
誰もそれを、努力をしているとは思えないからである。


030、
>人と関わることのルールに従わない人は、
>人と関わっていない。

人と関わるには、人と関わることのルールに従わざるを得ない。
人と関わることのルールが、人と関わることを構成する。
ルールの外し方が、その人らしさであっても、
まったく逸脱しているのなら、そもそも、人と関わっていない。
誰もそれを、人と関わっているとは思えないからである。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月26日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 5/20


021、
>大切なものは、目には見えない。

では、本は、無条件に大切だ。
本は、景色でも、想いでも、考えでもないのに、
文字だけで読み手に景色を見せて、
想いを伝えて、考えさせる。


022、
>逆は、目に見えないものは、大切なもの。

本を読めば、目に見えるものは、
目に見えないものからできていることが分かる。
その、目に見えないものが、
目に見えるものよりも、大切なものである。


023、
>裏は、大切でないものは、目に見えるもの。

何かを見ても、何も感じない人は、
確かに目に見えていたとしても、
何も見ていなかったのと同じであり、
見えていなかったのと同じことになる。


024、
>対偶は、目に見えるものなら、大切ではない。

目に見えるもの、それ自体よりも、
大切なものは、目には見えないもの。
分かる人には、分かるもの、
分からない人には、分からないもの。


025、
>分からない人には、分からないもの。

書き手の想いや考えを、読み手に蘇(よみがえ)らせることは、
いつだって、失敗することが宿命づけられている。
大切なものは、拾い上げる人には、分かるもの、
見過ごしてしまう人には、分からないもの。



    200721c.png



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月25日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 4/20


016、
>井の中の蛙から、海の話を聞かされても、
>的外れで、聞いていられない。
>とりわけ、毎日、海で泳いでいる人にとっては。

どちらがいい、悪いの話はしない。
井の中にいても、海に泳ぎに行っても。
悪いとすれば、語れない海の話をすることが悪い。


017、
>井蛙不可以語於海者、拘於虚也 ―― 荘子、
>井の中の蛙と、海についての言葉が通じないのは、
>蛙が作り上げた虚構について語るから。

どちらがいい、悪いの話はしない。
井蛙(せいあ)が作り出した虚構と、僕たちが作り出した虚構は、
異なる虚構だ、っていう、それだけのこと。


018、
>そんな人とは、生きることについての言葉が通じない。
>まともに生きたことがない人は、
>自分が作り上げた虚構について語るから。

作り出した虚構は、人それぞれ、異なる虚構だ。
他人の虚構について、考えること、考えようと努めることは、
できないことではないが、哲学よりも難しい。


019、
>海で泳いでいる人から、井底(せいてい)の話を聞かされても、
>的外れで、聞いていられない。
>とりわけ、井戸から出たことがない人にとっては。

どちらがいい、悪いの話はしない。
海に泳ぎに行っても、井の中にいても。
悪いとすれば、語れない井底の話をすることが悪い。


020、
>そんな人とは、生きることについての言葉が通じない。
>いわゆる、まともに生きている人だって、同じく、
>自分が作り上げた虚構について語るほかはないもの。

他人の虚構について、考えること、考えようと努めることは、
哲学よりも難しいが、大切なことである。
ひたすら、言葉を通じさせるために。



    

    最後の花火に今年もなったな
    何年経っても思い出してしまうな

    ―― 若者のすべて/フジファブリック
    ―― 志村正彦 作詞作曲、2007、EMI Music Japan



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月24日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:14

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 3/20


011、
>まともに働いたことがない人に、
>働くことが馬鹿らしいと言われても、
>まったく意に介さなくていい。

井の中の蛙から、海の話を聞かされても、
的外れで、聞いていられない。
とりわけ、毎日、海で泳いでいる人にとっては。


012、
>まともに努力をしたことがない人に、
>努力することが馬鹿らしいと言われても、
>まったく意に介さなくていい。

井蛙不可以語於海者、拘於虚也 ―― 荘子、
井の中の蛙と、海についての言葉が通じないのは、
蛙が作り上げた虚構について語るから。


013、
>まともに生きたことがない人に、
>生きることが馬鹿らしいと言われても、
>まったく意に介さなくていい。

そんな人とは、生きることについての言葉が通じない。
まともに生きたことがない人は、
自分が作り上げた虚構について語るから。


014、
>では、毎日、働いている人から、
>働くことは馬鹿らしくないと言われても、
>まったく意に介さなくていい。

海で泳いでいる人から、井底(せいてい)の話を聞かされても、
的外れで、聞いていられない。
とりわけ、井戸から出たことがない人にとっては。


015、
>そして、まともに生きている人から、
>生きることが馬鹿らしくないと言われても、
>まったく意に介さなくていい。

そんな人とは、生きることについての言葉が通じない。
いわゆる、まともに生きている人だって、同じく、
自分が作り上げた虚構について語るほかはないもの。



    200721b.png

ブログを更新して、今日も終われリ。
過ぎてしまえば、うたかたの夏。
クラムボンはわらったよ。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月23日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:19

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 2/20


006、
>働くことは、馬鹿らしい。

「自分が働くこと」が馬鹿らしいとして、
働いている人が馬鹿みたいに思えても、
「人が働くこと」が馬鹿らしいとは限らない。


007、
>結婚することは、馬鹿らしい。

「自分が結婚すること」が馬鹿らしいとして、
結婚している人が馬鹿みたいに思えても、
「人が結婚すること」が馬鹿らしいとは限らない。


008、
>学ぶことは、馬鹿らしい。

「自分が学ぶこと」が馬鹿らしいとして、
学んでいる人が馬鹿みたいに思えても、
「人が学ぶこと」が馬鹿らしいとは限らない。


009、
>努力することは、馬鹿らしい。

「自分が努力すること」が馬鹿らしいとして、
努力している人が馬鹿みたいに思えても、
「人が努力すること」が馬鹿らしいとは限らない。


010、
>生きることは、馬鹿らしい。

「自分が生きること」が馬鹿らしいとして、
生きている人が馬鹿みたいに思えても、
「人が生きること」が馬鹿らしいとは限らない。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月22日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

百のプロポ ―― 或いは、仮託された寓意 1/20


001、
>働きたくないから、働かない。

でも、どうしようもない感情が残される。
普通に働いて、普通の生活をしてみたいという、
普通の感情を持った自分でありたかった、
それだけは、どうしようもなく残される。


002、
>結婚したくないから、結婚しない。

でも、どうしようもない感情が残される。
ありふれた結婚をして、ありふれた生活をしてみたいという、
ありふれた感情を持った自分でありたかった、
それだけは、どうしようもなく残される。


003、
>学びたくないから、学ばない。

でも、どうしようもない感情が残される。
人並みに学んで、人並みの生活をしてみたいという、
人並みの感情を持った自分でありたかった、
それだけは、どうしようもなく残される。


004、
>努力したくないから、努力しない。

でも、どうしようもない感情が残される。
よくある努力をして、よくある生活をしてみたいという、
よくある感情を持った自分でありたかった、
それだけは、どうしようもなく残される。


005、
>生きたくないから、生きない。

でも、どうしようもない感情が残される。
当たりまえに生きて、当たりまえの生活をしてみたいという、
当たりまえの感情を持った自分でありたかった、
それだけは、どうしようもなく残される。




    200721a.png



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年08月21日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10