tetsugaku poet

qinggengcai

今どきの、流行りの歌に♪ 1/2


>(幸せとは)瞬きもせずに目を凝らしても
>見付かる類のものじゃない
なんて歌詞が、

>自由も、平等も、幸福も、進行形の行為を離れて、
>それら単独で存在することはない。
なんて意味を持つのかどうか。

なんて問いは、まったく問題にならない。



    201108i.jpg

    ―― Daisuke Richard



問題になるとするなら、前提として、歌詞は、
その意味が明確に決められていなければならない、
ってことになる。

歌詞は、論文ではない。
こんなふうに読まれなければならない、
って類(たぐい)のものではない。

音楽も、映像も、芸術ってのは、みんなそうだ。
おおよそ芸術なら、観る者、聴く者を、
意味の創造に駆り立てる。

今どきの、流行りの歌に、力はあるか。
どんな歌が、力を持つのか。
どんな歌詞が、力を殺(そ)ぎ、力を与えるのか。

それは、感受しようとする心に、力を伝えるか。
観る者、聴く者を、駆動させるか、って問い直され、
小恥ずかしいけれど、大げさに言うのなら、

それが、感動、ってことだろう。



    

    夢ならばどれほどよかったでしょう
    未だにあなたのことを夢にみる

    ―― Lemon/米津玄師
    ―― 米津玄師 作詞作曲、2018、Sony Music Records



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月30日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

自由する、平等する、幸福する ―― サ変動詞の進行形 2/2


>進行形の行為を描き、
>サ変動詞を見つけることかもしれない。

自由も、平等も、幸福も、進行形の行為を離れて、
それら単独で存在することはない。

それらが、自分とは別のどこかで生成されていて、
受け取りに行けるわけではない。

どこかに、それらがあるものとして探すときには、
例えば、幸福、なんて言葉を使いながら、

僕たちは、不幸を数え上げることになる。



    201108l.jpg

    ―― Daisuke Richard



    

    瞬きもせずに目を凝らしても
    見付かる類のものじゃない

    ―― 瞬き/back number
    ―― 清水依与吏 作詞作曲、2017、UNIVERSAL SIGMA



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月29日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

自由する、平等する、幸福する ―― サ変動詞の進行形 1/2


例えば、哲学、例えば、恋愛、例えば、努力。
哲学する、恋愛する、努力する、
なんてふうに、サ変動詞の多くは、
名詞に、する、がついた複合語である。

もともと、この国になかった名詞を、
無理に動詞にするときはこうなるが、
自由する、なんてのは動詞にはならない。
束縛する、統制する、専制する、とは言うけれど。

不自由する、と言うことはあっても、
自由する、とは言わない。
平等する、公平する、とも言わない。
差別する、とは言うけれど。

幸福する、とも言わない。
幸福は、それ自体が実体としてあるものではなく、
何らかの行為によって生成されるのに。
自由も、平等も、幸福も、その意味は、

進行形の行為を描き、
サ変動詞を見つけることかもしれない。



    201126b.jpg

    ―― Daisuke Richard



    

    歓びの歌が聴こえてくる ささやかな幸せ願うように
    澄み渡る空をふと見上げる 今夜 どんな君に会えるだろう

    ―― 灯り/ストレイテナー×秦基博
    ―― ホリエアツシ、秦基博 作詞作曲、2017、Virgin Music



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月28日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ダメージを受ける (-ω-;)ウーン 2/2


これらのフレーズは、どれもこれも、
一つ残らず、何らの価値も有していない。

何らの固有の意味も持たないゆえに、
変数による組み合わせが自在な、

無機的な文字列に成り下がっている。



    201122b.png

    ―― 田口久人



仮にも詩人なら、了解してくれ。
誰からも承認されるポジティブなフレーズの、

粗雑な生産と消費による蕩尽に、
言葉のインフレ体質の定着に、

ダメージを受ける人がいることを。



    

    待てこら 未だ答えは聞けちゃ居ないのさ
    洗い浚い吐け 今宵は常套句なんて通用しないと思え

    ―― 喧嘩上等/東京事変
    ―― 椎名林檎 作詞作曲、2006、東芝EMI



    201120a.jpg

    ―― Daisuke Richard



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月27日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

ダメージを受ける (-ω-;)ウーン 1/2


少なからずダメージを受けるから、
読み手は、感受性を抑制する。

    201119a.png

    ―― そのままでいい/田口久人 著、
    ―― 2017、ディスカヴァー・トゥエンティワン



読んだときに、自分を疲弊させてしまうフレーズを、
いち早く感知しようするアンテナを鈍らせる。

    201119b.png

    ―― 20代からの自分を強くする「あかさたなはまやらわ」の法則
    ―― /田口久人 著、2015、三笠書房



しかし、同じ文章を読んで、 元気になれたり、
励まされたり、優しくなれたりする読み手が、

    201119c.png

    ―― きっと明日はいい日になる/田口久人 著、
    ―― 2018、PHP研究所



思いのほかたくさんいることを知って、
さらにダメージを受けることになる。

    201119d.png

    ―― 20代からの自分を強くする「あかさたなはまやらわ」の法則
    ―― /田口久人 著、2015、三笠書房



自分らしくいられる、とか、
もっと自分を大切に、とか、

ありのままの自分、とか、そんなフレーズに、
傷つけられる他人がいることも察知してくれ。

仮にも書き手が詩人なら。



    201118b.jpg

    ―― Daisuke Richard



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月26日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

意志=行動 (-ω-;)ウーン 3/3


「あるのはただ解釈のみ」ではあるけれど、
僕たちは、他人のことは行動で解釈するのに、
自分のことは意志で解釈する。
それは、あるのはただ解釈のみ、なんて、
言えたりする所以(ゆえん)でもある。

他人に対しては、行動がすなわち思考で、言葉なのに、
自分には、「人の悪口ばかり言って、
自分は何もしようとしない」のも許容する。
他人に対しては、「あるのはただ行動のみ」を、
要求するほかはないくせに。

自分にとっても、あるのは行動のみで、
その背後にあると思われる意志を否定してみれば、
意志なんてのは、行動のパターンを示すものに、
名づけられた言葉に過ぎない。
行動を離れて、それ単独で存在することはない。

意志は、行動に随伴する現象に過ぎず、
行動を伴わなければ、自分への裏切りである。



    201118f.jpg

    ―― Daisuke Richard



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月25日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

意志=行動 (-ω-;)ウーン 2/3


「別に聞いてもいないのに、
自分の考えを述べて満足」するのも、

「相手がどう思うのか考えずに、
思ったことを口に出」すのも、

「自分の想いを押し付けて、
認められないと文句を言」うのも、

「人の悪口ばかり言って、
自分は何もしようとしない」のも、

自分を他人と共存させようとするから、
正しくないと思えるわけで、



    201116.gif

    ―― きっと明日はいい日になる/田口久人 著、2018、PHP研究所



では、他人と関わる気なんてない人にとっては、
当然、他人の解釈なんてどうでもいい。

そんな人の人格を否定することはできても、
自分にとっては正しいとするその論理を、

決して覆(くつがえ)すことはできないと思われる。



    201118d.jpg

    ―― Daisuke Richard



自分を他人と共存させようとする人なら、
自分を他人と共存させようとする気がない人とも、

いきおい、共存を試みることになり、
嫌うのは、試みが失敗することを予期したときの、

致し方のない感情だと思う。



    201119a.png

    ―― そのままでいい/田口久人 著、
    ―― 2017、ディスカヴァー・トゥエンティワン



自分には、「無理しない」を当てはめて、
他人には、「嫌われる人」を対応させる。

確証バイアスは、きっと、そんなふうにも、
自分に都合がよくなるように働いて、

自分と他人とでは、解釈の基準を変えてくる。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月24日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

意志=行動 (-ω-;)ウーン 1/3


    現象に立ちどまって「あるのはただ事実のみ」と主張する実証主義に反対して、
    私は言うであろう、否、まさしく事実なるものはなく、あるのはただ解釈のみと。
    私たちはいかなる事実「自体」をも確かめることはできない。
    おそらく、そのようなことを欲するのは背理であろう。

    ―― 権力への意志、上/フリードリッヒ・ニーチェ 著、
    ―― 原佑 訳、1993、ちくま学芸文庫



    201116.gif

    ―― きっと明日はいい日になる/田口久人 著、2018、PHP研究所



「あるのはただ解釈のみ」だから、
「別に聞いてもいないのに、自分の考えを述べて満足」するのも、
自分が正しいと解釈するのなら、そのままに正しい。
同様に、「相手がどう思うのか考えずに、
思ったことを口に出」すのも、自分の正しさに従って正しい。

「自分の想いを押し付けて、認められないと文句を言」うのも、
「人の悪口ばかり言って、自分は何もしようとしない」のも、
自分がすること、しないことは、自分にとってはすべて正しい。
しかし、―― 或いは、だから、でも結べるけれど、
その正しさを他人がどう思うのかは、

他人の解釈に任せるほかはないだろう。



    201118e.jpg

    ―― Daisuke Richard



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月22日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

リアル=イメージ (-ω-;)ウーン 3/3


人が生きる客観的な意味なんて、
僕たちは知ることなどできない。

そもそも、客観、という立場さえない。
客観、という立ち位置が見つからない。

そんな問いに足を取られている限り、
思考はどこへも行き着かない。

だから、答を見出せる問いに作り変えて、
改めて、問い直してみると、

人は、どんなときに生きる意味や、
価値を感じることができるのだろう?

どんな人が、どんなときに、
昔は良かった、なんて思うのだろう?

どんな人が、どんなときに、
今どきの若者は、なんて言うのだろう?

そんなのが、答を出し合える問いになる。
生きる意味が分からない、なんて言われても、

言われた側には、いい迷惑でしかない。



    201025j.jpg

    ―― The Dog、2007、Loretta Lux



みんなが同じ意味を生きているのなら、
検索窓に入力すれば済むけれど、そうでなければ、

生きる意味が分かってから生きる、なんてのは、
結果が分かってから決める、ってのに似ている。

決まってから決める、というのは、
端的に、論理矛盾、語義矛盾である。

分からないから、決めなきゃならない。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月21日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

リアル=イメージ (-ω-;)ウーン 2/3


例えば、昔は良かった、なんてのに、リアルはない。
例えば、今どきの若者は、なんてのにも、リアルはない。
自分にとっては、リアルとしか言いようがない気分でも。

価値判断を伴わないリアルは存在しない。
価値判断なしには、いかなるリアルも存在できない。
しかし、価値判断なんてのは、自分のイメージである。

問いは、おおよそ、そんな問題に拘泥していても、
事実を確かめることができない問いであり、
昔は良かったも、悪かったも、等価である。

そんなのは、イメージの違いをアピっている言説が、
ふわふわと巷間を飛び交っているに過ぎなくて、
どちらに選好を示しても、価値に差はなく、

言われた側には、いい迷惑でしかない。



    総じて「認識」という言葉が意味をもつかぎり、
    世界は認識されうるものである。
    しかし、世界は別様にも解釈されうるのであり、
    それはおのれの背後にいかなる意味をももってはおらず、
    かえって無数の意味をもっている。

    ―― 権力への意志、上/フリードリッヒ・ニーチェ 著、
    ―― 原佑 訳、1993、ちくま学芸文庫



    201025i.jpg

    ―― The Dove、2006、Loretta Lux



いつの時代でも、良かったと思えるものごとは、
総じて、日々の努力の積み重ねであり、
若くても、年寄りでも、他人との関わりであり、

そこから得られるものごとである。



テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2020年11月20日 00:00 |
  2. 自分らしさ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6