私はかつて正しかったし、今もなお正しい。
いつも、私は正しいのだ。
私はこのように生きたが、また別の風にも生きられるだろう。
私はこれをして、あれをしなかった。
こんなことはしなかったが、別なことはした。
そして、その後は?
私はまるで、あの瞬間、
自分の正当さを証明されるあの夜明けを、
ずうっと待ち続けていたようだった。
―― 異邦人/アルベール・カミュ著、
―― 窪田啓作訳、1954、新潮文庫
もちろん、ほかにも方法はあった。
僕たちは、過去にあったはずの、
様々な可能性に想いを巡らすことができるが、
しかし、実際には、
たったひとつの生き方しかできない。
他者からどんな意味を与えられても、
どう評価されても、どう裁かれても、
そのようにしか生きられなかった自己がいる。
自己の実存を、他者に、
譲り渡すことができない自己が言う。
誰の所為にもできない。
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- 2023年09月30日 00:00 |
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厚生労働省、患者白書によると、
令和2年における精神疾患を有する総患者数は419.3万人(C)、
令和2年における日本の人口は12,614.6万人(E)、
C/Eは3.32%、
令和3年犯罪白書によると、
令和2年における刑法犯の検挙人員総数は182,582人(A)、
そのうち精神障害者とその疑いのある者は1,345人(B)、
B/Aは0.74%、
犯罪白書による検挙人員が、
精神障害の疑いのある者まで含めていることを考慮すれば、
なおのこと、精神障害者が罪を犯す割合は低いといえる。
精神疾患をそのまま放火の原因とし、動機に結びつける短絡は、
偏見を助長してしまうことになりかねない。
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- 2023年09月29日 21:00 |
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例えば、ガソリンをかけたのは、
ナンバー2 が作り出した幽霊に対してであり、
人に対して浴びせたわけではない、
という主張なら、幽霊を殺そうとして、
人を殺してしまったことになる。
でも、京アニの事件では、そんな主張はない。
人を殺そうとして人を殺した。
例えば、妄想に支配されていて、
京都まで移動したのも、携行缶を用意したのも、
ガソリンを買ったのも、バケツに移し替えたのも、
まったく自分では制御不能だった、
という主張なら、自分の意思ではないのに、
人を殺してしまったことになる。
でも、京アニの事件では、そんな主張はない。
自分で計画して行動に移した。
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- 2023年09月29日 00:00 |
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ある種の人々は、人間として認知されない
ということに対して、とりわけ敏感である。
誰かがこの点できわめて敏感であるなら、
彼らが、分裂病者と診断される見込みは大である。
フロイトがヒステリー者について述べ、
のちにフロム=ライヒマンが分裂病者について
いわねばならなかったことだが、
彼らは、たいていの人々よりも一層多くの愛情を
与えたり受け取ったりする必要があるのである。
これをあべこべにいうこともできるであろう。
あなたがあまりに多くの<愛情>を
与えたり受け取ったりする必要があれば、あなたには
分裂病の診断をくだされる危険性が高いであろう。
この診断は、あなたに、全般的に見て、
大人のやり方で<愛情>を与えたり
受け取ったりする能力がないという烙印を押す。
そしてあなたがそのような考えを一笑に付すなら、
そのことが分裂病という診断を
確定させるかもしれないのである。
なぜならあなたは<不適切な感情>を呈するわけだから。
128p
―― 自己と他者/R.D.レイン 著、
―― 志貴春彦、笠原嘉 訳、1975、みすず書房
愛情を交換する能力がないから、
多くの愛情を乞うことになる。
愛情についての燃費が悪いから、
過剰に欲しがり、無駄使いをする。
そして、いくら愛情を与えても、
少しも返ってくることがない人はいる。
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- 2023年09月28日 00:00 |
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第10回公判、目撃者の証人尋問。
ガソリンを浴びせられた社員の証言。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d364557c09f61e327c6ab859693d5fa9539a8b95
社員の女性は、頭や上半身にガソリンをかけられて、
死ね、と言われて、火をつけられた。
犯行時において、殺意は明白、と考えていい。
青葉被告が殺そうとした対象は人である。
人を殺してはいけない、という規範に直面して、
それでも人を殺すことを選んで、人を殺した。
青葉被告を非難してよいかどうかは、
36人を焼き殺した結果だけでは決められない。
36人の人権を奪った者にも、人権は尊重されるが、
その上で、非難可能性がある、と考えていい。
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- 2023年09月27日 18:00 |
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逆に、自分に供せられ過ぎる人はいる。
例えば、自分に向けられてもいない投稿や、
自分に宛てられてもいないコメ欄に、
いきなり戦闘態勢に入ってしまう。
その中に、意味が取りにくい表現があると、
自分が悪く書かれていると思い込む。
怒りや憎しみを隠せないまま、
いきなり反撃に打って出る。
自分が話題になるはずもない隣人の会話、
自分が写されるはずもない誰かのスマホ、
自分を尾行するはずもない仕事帰りの会社員、
自分に関心を持つはずもないテレビの報道は、
自分に供せられることを求め過ぎている。
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- 2023年09月27日 00:00 |
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好意的になれば、
こんなにすごいアニメがあるんだ、
って、原作を読んで、文体を真似て、
自ら小説を書き始めて、
7年かけて完成させる。
そこまでする人はいない。
https://www.sankei.com/article/20230919-G7NVUGCSMVIHBK5FL3VHPULDDQ/
10年後、敵対したときにも、
そこまでする人はいない。
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- 2023年09月26日 16:00 |
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ただし、二極思考ではある。
好意的になれば、一気に相手を理想化し、
希望を見出して感涙する。
ということは、敵対したときには、
急に反転して絶望し、こき下ろして縁を切る。
実は、どちらも不適切、と言わざるを得ない。
不愉快ではあるけれど同意する、とか、
理解はするけれど従えない、とか、
おおよそ、世の中は、グラデーションの中の、
振り切らない考えで出来ている。
どんなに振り切れても、火を放ったりはしない。
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- 2023年09月26日 00:00 |
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事件の当日の自分の行動などについては、
「細かく覚えている余裕がなかったので、
記憶にございません」と話しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a6dcbe8464ab1baafe38fc0075c9c117ca3b75f
ここに来て、主張を変えてくる。
なぜこんなに茶番劇のような裁判になるのだろう。
公判9日めの、弁護人からの質問で、
臆面もなく、記憶にない。
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- 2023年09月25日 16:00 |
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映画「エレファントマン」の重要なシーン。
フレデリック(主治医)の家を訪れたメリック(エレファントマン)は、
フレデリック夫人がメリックを見ても恐怖に怯えることなく、
会釈して差し出された握手に、感激して泣き出した。
「このように美しい女性に優しく接してもらったのは初めてです」
彼女は、お茶をいれて、メリックをもてなした。
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- 2023年09月25日 00:00 |
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